クラウドファンディング

「クラウドファンディング」で失敗しない5つのポイント。中小企業は上手に活かして新規顧客獲得へ

中小企業の利益を3倍にする経営コンサルタント本田信輔です。

今回の記事は「中小企業のクラウドファンディング」についてまとめています。

クラウドファンディングとは、クラウド(群衆・crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、自分のやりたいことや夢、新しいアイデアへの想いを発信し、その想いに共感して応援したいと感じてくれた人たちから資金を募る仕組みです。

クラウドファンディング?なにそれ?と思う方がいるかもしれません。

言葉としては新しい言葉で、中小企業ではまだ馴染みがない言葉だと思いますが、古くから日本でも古くから行われています。

例えば、寺社仏閣で建物や仏像などの造営・修復するための寄付を募る「勧進」(源平の争乱時代に焼き討ちで焼失した東大寺と大仏の修復に資金を募り、修繕後には寄付者の名前が寺に記されるなど)や、文化芸術の世界(映画を作るための資金を募るなど)などもクラウドファンディングと同じ仕組みです。

インターネットの普及によって、2000年代にアメリカで先駆的なウェブサイトが次々と開設され、民間企業や個人でもクラウドファンディングがごくごく普通に活用されるまで拡大しています。

日本でも2011年の東日本大震災で被災した企業に対する復興支援をきっかけに認知度が上がってきており、公共的なテーマや大企業だけが取り組むものに限らず、地方の中小企業や起業をする人たちの中でも事業の中に活かしていくケースが増えてきました。

ファンド?資金調達?と聞くとなんとなく乗り気にならない方がいるかもしれませんが、クラウドファンディングには資金調達以上に、販売促進(商品販売)やファン客づくり、新規顧客開拓、補助金との併用、資金繰りの改善など大きなメリットがあります。特にウェブによるネット販売が拡大した今、特に地方の中小企業にとっては全国の顧客を獲得できる新しい販売戦略として積極的に検討してほしい取り組みになりつつあります。

新しい潮流でメリットは大きい。中小企業のクラウドファンディングとは

まずはクラウドファンディングの種類を説明します。

クラウドファンディングには大きく、3つの種類があります。

(1)購入型・・・支援の見返りとしてモノやサービス、体験などの「リターン」を販売する。

(2)寄付型・・・公的な活動を行なっている団体等が、支援を「寄付金」として受け取る。支援者に対する「リターン」はない。公共性の高いものが多い。

(3)金融型・・・株式発行やファンドの仕組みを利用した投融資資金を集める。会社の株式を取得したり、配当やファンドの運用益を受け取れる可能性がある。

大きく分けると3種類になるのですが、企業の場合はほとんどが購入型。将来的に発売される自分達の商品やサービス・体験企画をリターン(返礼)として提供するもの。簡単にいうと「発売前の事前注文」に近いイメージです。

この点は、過去のクラウドファンディングに対するイメージから大きく変わってきています。よほど公共性の高いテーマでない限り寄付型になることはありません。また、お金を投資してもらって、それを増やして返金するような中小企業にとって経営に影響する可能性が高い金融型も非常に稀なケースです。

購入型クラウドファンディングの対象になるものは、本当に幅が広いです。

建物、機械・設備、商品開発、イベントの開催などなど。支援を求める使いみちに制限がないため、どんなケースでも活用できる点は、補助金よりも使いやすいものと言えます。(実際に補助金と併用して活用する企業もあります)

企業としては新商品発売にあたり、商品開発や製造をする前に注文が入った状態であるため、販売後リスクや資金面の負担が軽減されるメリットがあります。

さらに、私がクラウドファンディングのメリットとして注目しているのは、

“支援者とコミュニケーションをとることで、大きなメリットがある”ということ。

クラウドファンディングの支援者は、自分達や会社のやりたいことを応援したいと思ってくれている人たち。つまり応援者です。この人たちとコミュニケーションをとり続けることで、新しいファン客づくりができます。しかも、クラウドファンディングの時だけ応援してくれるのではなく、その後も応援してくれる!

ここがとても大事だと考えています。

地方の中小企業にとってクラウドファンディングは新しい顧客開発や販路開拓のチャンスになりますし、自分達の事業領域を全国へ拡大することができる新たな販売促進であると言えます。実際にクラウドファンディングの支援者のうち80%以上がその後の固定客になるケースも少なくありません。

お金は出してくれるけど、その時限りの関係になる補助金や金融機関の融資との違いでもあります。

しかも。近年はクラウドファンディングサイトが一般的にも普及しており、企業側も支援者側も気軽に参加できる仕組みになっています。

ただし、気をつけておきたいのは、

“クラウドファンディングを立ち上げたら、勝手に支援者が増えたり、勝手に売れたりするわけではない”ということ。

ネットでお店を出すだけで、売上がとれると勘違いするのと一緒のことです。

では、クライドファンディングをどのように成功させていくのか。

実際に目標金額の6倍もの支援を獲得した実例なども踏まえ、抑えておきたいポイントを次からまとめています。

1.商品よりも思いをわかりやすく、熱く伝える。

まずはクラウドファンディングで何をしたいのか、整理してまとめます。

・クラウドファンディングで集めた資金を何に使いたいのか、やりたいことは何か(資金の使いみち)

・商品やサービスを通じて、どんなことをしたいのか(自分達がやりたいことや夢)

・その思いに至った理由やストーリー

・これらの思いを誰に伝え、応援してもらいたいのか(ターゲット)

クラウドファンディングで応援してもらうためには、

“思いが明確で、分かりやすいこと”と

“思いに熱量があること”

まとめる上で、この二つはとても大切です。

単にクラウドファンディングをしたい(クラウドファンディングが目的になる)というのは難しい。まずはご自身や会社で何をしたいのか。これを明確にしていくことが大事です。

何をしたいのか、そのために資金を何に使うのか、どうしてそのような思いに至ったのか。これらをストーリーとして伝えることで、応援したいと思う人が増えてきます。

思いの熱量を伝えるためには、動画で思いを語るなどのこともしていかないと難しいですし、そもそも当人(経営者やリーダー)が顔出しして語るくらいでなければ、応援されることもありません。※そもそも顔を隠して、応援してもらいたいというのはかなり難しいです。

自分が自信を持って「こうしたい!」と言えるような、熱量を持った思いを作り上げることが第一です。

特に抑えておいて欲しいポイントは4つ。

・分かりやすいこと

・公共性の要素を持ち

・チャレンジ性が強く

・今までにない

・嘘はだめ、すぐにバレる

思いを明確にした上で、伝え方はタイトル、文章、動画、画像などで説明します。

気を付けて欲しいのは、商品やサービスだけの説明にならないこと。大事なのは“商品・サービス+思い”です。思いを分かりやすく、熱く伝えることが大事です。

その点で動画は効果的ですし、実際に成功しているサイトでは動画の再生回数が高いという傾向があります。ネット販売では60秒以内の短い動画の効果が高いと言われますが、クラウドファンディングで思いを伝える場合は長くても構いません。

商品を端的に伝える格好良い商品PRの動画よりも、口下手であっても当人が思いを長く語る方が効果があります。

もちろんクラウドファンディングのサイトに搭載されているブログ機能などの更新頻度(1週間に2回程度は必須)や、支援者に対するお礼・コメント返信も重要です。どんな思いなのか、実際にどのように進んでいるのか、どんな応援者がいるのか、思いの熱量はこのようなところでも伝わりますし、何よりも応援してくれる人との関係づくりは、情報の拡散や新たな応援者づくりにつながります。

2.クラウドファンディングサイトの選び方はそれほど難しくない

日本には現時点で、数多くのクラウドファンディング会社が存在します。

クラウドファンディング会社の役割は、クラウドファンディングサイトへの集客・運営と資金回収(一旦クラウドファンディングの会社が支援金をまとめてくれて、会社へ入金処理をしてくれる、個別のプロジェクトに対して集客してくれるケースは稀)がメインです。

クラウドファンディングサイトも競争時代となっており、サイトによって手数料(獲得した資金に対し●%という成功報酬型)が異なりますが、手数料の下限は10%のようです。

クラウドファンディングの種類別に分けてみると、

購入型 → kibidango、READYFOR、Makuake、CAMPFIRE

寄付型 → ReadyforCharity、JAPANGIVING、Good Morning CAMPFIRE、ふるさとチョイス

投資型 → FUNDINNO

などに分かれています。

中小企業の場合で、購入型の場合は購入型のクラウドファンディングが多く掲載されているkibidango、READYFOR、Makuake、CAMPFIREの4社のサイトから選ぶと良いかなと思います。ただし基本的にはクラウドファンディング会社が個別に集客してくれるわけではなく、自分達での集客がメインとなるので、どのサイトでもあまり差はありません。

時々、各社がキャンペーンを行なっていて手数料が低くなる時期があるので、複数のサイトを使い分けることもアリです。

どのサイトでも基本的にどのような文章を書いているかなどのチェックはしてくれますが、内容や取り組みはほぼ自分達でやることになります。クラウドファンディングを行う企業が増えていることもあり、サイトの担当者も多くの案件を抱えている様子なので、アドバイスや対応スピードなども以前と比べて遅くなっているとの話もよく聞こえてきます。

選び方はネットモールへ出店する際に、Amazonが良いか、楽天が良いか、Yahooが良いかと選ぶような感じと捉えておいてください。

3.成功は初動で決まる!目標設定と達成率を意識したクラウドファンディング

成功しているクラウドファンディングの多くは、募集を開始してから3日間、早いところでは数時間で目標金額を突破しています。

実は。クラウドファンディングは初動が何よりも大切。どれだけのスタートダッシュを切れるか、その仕掛けをどれだけしているかが重要。

初動がうまくいくためには、2つの要素を抑えてください。

一つ目は、

クラウドファンディング開始前から告知を始めておくこと。

自社ブログ、S N S、メルマガ、顧客へのDM、店頭での告知やチラシ配布など。

あらゆる社内の手段を使って、クラウドファンディングの内容やスタート日時の事前告知などを行うことです。前述した通り、クラウドファンディングの運営会社はサイトへの集客はしてくれますが、個別プロジェクトへの集客はしてくれません。サイトを立ち上げただけで集客できるわけではないということです。まずは自分達で認知度を高めていく必要があります。

さらに言えば。次に記載する目標設定・達成率と組み合わせて考えることで、注目されるプロジェクトになることができます。

ふたつ目は、

3日で達成できる目標金額の設定を行うこと。

クラウドファンディングの目標金額設定はとても大切です。

なぜなら。クラウドファンディングのサイト上で、目標金額の高さよりも達成率の高さの方が注目されやすいからです。

つまり。最初から高い目標金額を設定して、達成率がじわじわと上がっていくよりも、低い目標金額を設定して、達成率は100%をすぐに超えて、達成率が200%、300%と超え続けている状況を作ることの方が注目され、結果としてより多くの応援を受けることができやすい状況が作れます。

クラウドファンディングは、目標金額をクリアしたらそこで終了ということはありません。その後も追加して募集が可能です。その点からも目標金額よりも達成率をどのように上げていくかに軸足を置いた検討が必要です。

逆に、プロジェクト開始してから期間の3割が進んだ段階で達成率が100%を超えない場合(例:90日のプロジェクト期間中、30日が経過した時点で達成率が100%を超えていない場合)、そのクラウドファンディングが成功する確率は大きく下がってしまいます。

もちろん、目標設定にはコツがあります。

実際に欲しい金額をそのまま目標設定しない。事前告知でどれだけ応援してくれるかの見込みを踏まえて目標設定をする。この辺りはポイントです。

4.リターン戦略は数字で考える。数字のマーケティングは超重要

クラウドファンディングの支援金(集めるお金)の目標は、まさに売上と同じ。

基本的には【平均単価×支援者数】で決まります。

通常の店舗と違うのは、複数のリターンを購入する方は少ないということ。

その点からも、リターンの上限価格・中心価格・下限価格を意識した構成を組み立てることが成功の鍵です。店舗の商品構成・価格構成と同じです。

例えば、、、100万円が目標金額だとして。

500円のリターンしか設定しておかなかったらどうでしょう。

1,000,000円÷平均単価500円=支援者数2000人 という桁違いの応援者を集めないといけません。実際には相当の発信力を持った企業や人でないと難しいでしょう。

現実的には、

1,000,000円÷平均単価10,000円=支援者数100人という方が妥当に感じられます。

(イメージとしては目標金額の0.5〜1%程度が平均単価としてとらえていただけると良いです)

そのためには、平均単価10,000円前後を実現できる

・上限価格と下限価格のリターンを設定し、

その上で

・平均単価に近い金額のリターンを中心価格として、アイテム数を厚く設定する必要があります。

この点は、応援者の予算帯に合わせて構築することが必要。

店舗の売上を考えるように、クラウドファンディングも数字で考えていくことが大事です。

目標金額を決めたら、次は自分や自社の応援してくれる応援者(個人・企業)の数がどの程度いるかを想定します。そうすると、目標金額÷応援者数=平均単価 が算出できるので、上に記載したようなリターンの設定をしていくことができます。

また、リターンの数も重要です。

ウェブやサイトページの特性として、返礼品の数が多すぎて、画面の下にありすぎると、結果として選択してもらいたいものを発見してもらえないことになってしまいます。多すぎるとブレてしまう。アイテム数が多すぎると会社も大変。でも数が少ないとやはり寂しい。

サイトのページレイアウトを踏まえ、ある程度の適正数を設定することが良いです。

そのほかにも、

・低価格のリターンは数量限定にする。早めに売り切れるようにする。

・商品販売が目的なら早割などの特典をつける

・参加型や体験型のリターンはニーズが高い→特別感がある

など。成功しているクラウドファンディングでは、店舗や通販と同じように考えていくことがポイントになっていますし、逆に言えばこういった数字で考えられていないクラウドファンディングの成功率は低くなってしまいます。

5.クラウドファンディング後を見据える

元々クラウドファンディングは資金調達のための仕組みです。

ですが近年は、

・新しい商品をお披露目する、

・新しい顧客層を開拓する

・応援者とのつながりを深め、ファン客をつくる

など、新たなメリットを考える人が増えてきました。

これは応援する側にとっても同じです。

ウェブの世界でクラウドファンディングが広がり、会ったこともない人を応援しようとしてくれる人。だからこそ、資金応援だけの関係ではなく、プロジェクトを立ち上げるあなたの夢やアイデア、やりたいことに共感して、応援しようと思ってくれる人が参加してくれるようになっています。

この人たちは、クラウドファンディングの時だけの関係を望んでいません。クラウドファンディングが終了した後も、進捗はどうなったのかな?どんな発展進化があったのか?など、積極的に興味を持ってくれています。

その点からも、クラウドファンディング後の関係づくりも視野に入れた取り組みを行うことが重要になってきます。

プロジェクト中のやりとりはもちろん、クラウドファンディング終了後もつながるようにSNSでのつながりをつけておき、定期的に情報を発信したり、リアルなオフ会を開催したり。

ウェブショップなども、こういった応援者の人たちを想定した強化を行なっていくことも効果的です。

クラウドファンディングを一時的なつながりと捉えるのではなく、会社の新しい顧客づくり(しかも日本全国が対象で顧客獲得ができる)、ファン客づくりにつなげていく。これが地方の中小企業にとっては大きな販売戦略として有効に機能し始めています。

クラウドファンディングでの成功は資金面・売上獲得だけではありません。長く続くお客さんとの関係性であったり、ファン客づくりであったりします。こういう視点を持って取り組むことで、クラウドファンディングの成功自体を高めていくことができます。

いかがでしょうか。

コロナ禍によって、リアルなビジネスが停滞していた2年間。地方の中小企業でも、クラウドファンディングを活用して新たな売上獲得や顧客づくり、新しいチャレンジを行なって企業があります。

ちなみに、クラウドファンディングの成功率は30%と言われます。残りの70%は失敗。

あなたは、この数字をどうとらえますか?

成功率30%は低すぎると考える方へ。

もしもネットショップを出店したとして、現時点で国内420万店あるネットショップ・ECサイトの中であなたの会社のネットショップは30%の成功に入ることができますか?

今回は、地方の中小企業にとってのクラウドファンディングのメリットと、成功する30%に入るためのコツとポイントをお伝えしました。確かに手間はかかります。ですがそれ以上に大きなメリットがあります。

・新たなチャレンジに対する資金調達

・発売前商品の事前予約や売上獲得

・それによる資金繰りの改善

・補助金との併用可能、しかも資金用途は自分達で決められる

・全国規模で新規顧客の開拓

・認知度向上

・ファン客づくり

・ウェブショップの顧客や売上への移行

これらを自社の資金支出を抑えながら、取り組むことができる。早い会社はいち早く、クラウドファンディングのメリットに気づいて、動き出しています。

今「どうにかしないといけない。でも経営が苦しくてなかなか資金が」と考えている方へ、チャレンジするには絶好の機会。閉塞感を打ち破る新たな取り組みになりますよ!

気軽にご相談ください。

当社ではこれまで開業してから約400件のご相談を承り、そのうち約200件の企業・事業者さんへ支援を行いました。もしもお困りのことがございましたら、お力になれる点があると思いますので、お気軽にお問い合わせボタンを押して、ご連絡ください。

=PR=

ミタス・パートナーズ無料経営相談お問い合わせ

ミタス・パートナーズ日本一会議

【無料メルマガ講座】こんな時こそ勉強しよう!無料で学べるあなたの会社の利益アップ実践策

Share Me!

関連記事

見つかりませんでした。
keyboard_arrow_up