15分でわかる!利益を上げたケーキ屋・パティスリーの原価計算

食品製造業 経営改善事例&コラム

地方の中小企業の利益を3倍にする経営コンサルタント本田信輔です。

今回お伝えするのは利益を上げるケーキ屋さん・パティスリー・洋菓子店の原価計算の考え方。

「頑張っても利益が上がらない」「売れば売るほど苦しくなる」「どうして利益が出ない?」と悩むケーキ屋のオーナーは多く、その中でも特に原価率は利益を決める重要なテーマとして、相談に来られる方も多いです。

ちなみに、あなたのお店ではちゃんと正しく原価計算をしていますか?

原価を改善する取り組みができていますか?

原材料が高騰しているから、どうしようもないと諦めていませんか?

まずはここから考えていくことが大事です。

ケーキ屋さんの原価率はとてもシンプルに、3つの要素を抑えることで大きく改善します。ちゃんと利益を出しているケーキ屋さん、利益改善ができたケーキ屋さんのオーナーはそのことに当たり前に取り組んでいます。

お店の利益にとって生命線とも言える原価率を改善する。特に原材料や人件費が高騰している昨今、原価率の見直しはオーナーにとって喫緊の課題です。

ちゃんと利益を出し、従業員に給与を払い、お客さんへのサービスを強化し、未来への投資をする。これがお店を永続するために必要。その根幹となる、利益を出せる正しい原価計算の考え方をお伝えします。

はじめに 原価計算とは

「原価計算くらい当たり前にできるよ!」と思われるかもしれませんが、もう一度整理をしてみましょう。

原価とはケーキやお菓子を作るために必要な原材料費のこと。ケーキ屋の主な原材料としては生クリーム、小麦粉、砂糖、牛乳、バター、フルーツ、ケーキに巻く帯やトレー(最低限の包装資材)などが上げられます。

お菓子づくりに必要な原材料費を積み上げて計算するのが原価計算。「このケーキ1個作るのに120円」のように算出するのが原価計算と考えているのであれば、少し残念。

原価計算は原材料費の計算だけではなく原価率も算出します。

原価率とはお菓子の価格に占める原材料費の割合のこと。

つまり。原価計算とは原材料費の積み重ね計算だけではなく、値づけ(価格設定)もすることも含まれるのです。

原価計算のベースは以下の3つを全て行うことなのです。

・ケーキや焼き菓子を作るために必要な原材料費の積算

・商品の値づけ(価格設定)

・原材料費と価格から原価率を算出する

正しい原価計算の定義を踏まえた上で、実際に利益を上げているケーキ屋が原価率を改善した3つの要素を次からお伝えします。

※本来であれば製造原価として(原材料費・製造人件費・製造経費の3つを合計)を算出することもあります。弊社としては、一つの目安として製造にかかる総コストである製造原価率は売上の40%〜50%(できる限り40%近く)にしなければ利益が出なくなるとお伝えしています。

今回は特に原価(原材料費と最低限の個包装費を合計したもの)にフォーカスしてお伝えします。

1.原価率を低減する方法の第一は正しい値づけ

原価率を最も左右するのは値づけ(価格設定)です。

ケーキ屋さんの多くは良い原材料を使って、美味しいお菓子をお客さんに届けようと考える方がほとんど。仕事と商品にプライドを持って経営をしているので、利益のために原材料の質を下げようとする方はほとんどいません。

さらに言うと、他店と同業他社と比較して原材料費がそれほど大きく変わるということもありません。では原価率の違いはどこから来るのか・・・・。

値づけです。

オーナーがつける値づけ一つで原価率が大きく変わります

(例えば、ショートケーキ1個の原価が120円として)

値づけによって、どれだけ原価率が変わるかを見て見ましょう。

A店:380円(原価率31.5%)

B店:420円(原価率28.6%)

C店:480円(原価率25.0%)

A店とC店では原価率が6.5%も違います。原価率は下げても商品品質は下げていません。ケーキ屋・洋菓子店で原価率が25%とかそれ以下のケース。業界でも“そんなに原価率を抑えられるの?”と驚かれるようなケースは値づけをより上手にしているお店です。

仮に同じ年商1億円のお店同士だとしたら年間利益で650万円も違う計算です。650万の利益があれば、従業員の給与を上げることもできます。新しいチャレンジもできます。経営や資金繰りも楽になりますね。

利益を出しているケーキ屋オーナーさんは値づけの重要性をちゃんと勉強しています。

原価120円のケーキであれば、価格が10円違うだけで原価率は0.8%も違う。10円でも高く売ることができるか、経営者としての視点を持って値づけをしています。

原材料費を算出した上で、どの程度の原価率にするかを決めて値づけをし、その値づけ(価格)に合わせた商品のブラッシュアップや、お店での売り方・訴求方法を考えていくのです。

お客さんには価格に対する心理的な要素があり、例えば80円も100円も120円も“だいたい100円と捉える幅を持った価格イメージがあります。この辺りも活用することで、上手に値づけすることができます。

逆にやめた方が良いのは、

・原価の3倍が値段

・焼き菓子の原価率は20%

・この商品はいくら。競合店の価格と合わせる

・なんとなくこれくらいと感覚で決める

など古い慣習に囚われた値づけ。業界の当たり前という方もいます。

こういった考え方で値づけをしているのであれば、考え方を見直した方が良いです。

お客さんの気持ちも考えず、作り手本位の値づけになっている上に、利益が出ないからです。わずか10円の値づけの違いが、年間で見れば数百万円クラスの利益を逃していることにつながります。

2.原価率を低減させる主要原材料の仕入れ見直し

原価率を低減させる2つ目のポイントは“主要原材料”の仕入れ見直しです。

特にケーキ屋・洋菓子店で使用量が多い生クリーム・バター・小麦粉などは第一優先で仕入れ見直しを検討します。

検討した方が良い状況は、複数の仕入先・業者さんから入荷している場合。

仕入先を一本化する。特に生クリームや牛乳を複数メーカーから仕入れているケーキ屋は早急に改善です。

仕入先の一本化までの具体的な流れを、生クリームを例にまとめると、

①お店で年間に使用する生クリームの量を算出する

②原価率を改善するために仕入先を一つにすることと、年間の使用量を全てのメーカーに平等に伝え、見積もりを出してもらう。見積もりは一発勝負であることを伝える。

③各メーカーから提出された見積もりを比較して、1つのメーカーに絞る。

注意点は

・仕入れ見直しに関する情報を平等に伝える

・見積もりは一発勝負にする

この2点です。

特に見積もりの一発勝負は重要です。よく仕入れ価格を下げるために何回も見積もりを出させるオーナーもいますが、あまりオススメしません。なぜなら営業マンも様子を伺いながら本当の金額を出してこないからです。お互いに時間も手間も無駄。仕入先の営業マンがめんどくさい顧客だと判断すると、その後の対応も良くなりません。

最初から見積もりは一発勝負と伝えれば、各メーカーは最大限に検討した金額を出してきます。その金額を見れば各メーカーがあなたのお店にどのような評価をしているか、これから付き合いたいのかどうか。本音がわかります。

実際にあったケースでは、繁盛店にも関わらず利益が出ないと嘆いていたケーキ屋のケース。年商2億近いお店なのに利益が出ないということで相談に来られました。聞いて見ると生クリームを複数メーカーからとっているとのこと。お店全体では年間使用量も多いのに、複数メーカーに分散しているため仕入れ単価も高くなっていました。

オーナーとしては「何かあった時のリスク対策として」とおっしゃっていましたが、リスク対策としては全く逆。各メーカーとも取引量が少ないため上客としては扱われず、いざという時に原料を融通してもらう量が減ってしまうことにつながることを説明し、仕入れを一つのメーカーに集約することにしました。効果は抜群。仕入れ単価が下がったことに加え、元々の使用量が多かったことで1000万超えの利益改善になったのです。

原材料が高騰している今、細かな原材料の仕入れ見直しは難しくなってきています。特に少量仕入れの原材料は下がる要素がなく、思ったほどの改善にはなりません。まずは経営者として主要原材料だけに焦点を絞って仕入れ見直しをすることをオススメしています。

3.原価率を低減させる商品構成の見直し

利益が出ないケーキ屋のオーナーにお話を伺うと、商品構成についても以下のような概念に縛られていることが多くあります。

・洋生・プチガトーは25アイテム以上(ケースの中を華やかにするため)

・さらに歳時記やイベント時は季節商品も追加する(例:クリスマスには定番のプチガトーを出して、さらにクリスマス仕様のプチガトーも出す・・・・イベント時にアイテム数が増える)

・焼き菓子は種類があった方が、お客さんが選べて良い。

・商品の種類はたくさんあった方が集客も売上も上がる。

ですが、利益を出しているケーキ屋・洋菓子店のオーナーはこれらの概念を捨てています。これは全て、今の経営・利益にとってマイナスに働くからです。

逆に、

・洋生、プチガトーのアイテムを絞る。

・歳時記やイベント時は定番商品をやめ、季節商品だけを展開する。

・焼き菓子は絞り込み、主力商品を育成して集中生産販売をする。

・商品の種類の多さよりも、1品あたりの魅力が大事。選べる楽しさよりも、あそこのアレが食べたいと思わせる商品開発に注力する。

へ経営をシフトし、利益化を推進しています。

洋生・プチガトーの絞り込みでは、ケース内の華やかさをディスプレイで演出。洋生ケースを小型化して少ないアイテム数でもボリューム感を出せるように投資するなどで、お店としての魅力を下げることはしていません。

歳時記やイベント時は定番商品を季節商品としてアレンジするなど、アイテム数が増えないようにコントロールしています。

=実際にあるケーキ屋さんで私と娘が遭遇した経験談=

ハロウィンの日に娘とケーキを買いにいきました。ところがお店に入って娘はがっかり涙目。定番のイチゴショートはあるのに、ハロウィンの飾りがついたイチゴショートケーキは売り切れ。娘としてはハロウィンの飾りのケーキが欲しかったのです。このことをあなたはどう考えますか。

ハロウィンのイチゴショートが欲しかった娘は不満&悲しいです。

逆に定番のイチゴショートケーキを買おうと持っていた方がお店に来て、ハロウィンのイチゴショートだけがあったとしたら。おそらく「あぁ今日はハロウィンだったか」と思うだけで、よほどの理由がなければ、定番のイチゴショートがなくても不満にはなりません。

お店側としては、最も売れ筋の定番いちごショートは外せないと考えたのだと思います。ところが、お客さんの立場に立てばハロウィンの商品構成として良い方法を考えることができたのだと思います。

イベント毎にアイテム数を増やし、商品毎の在庫が少なくなる、あるいは苦労したり残業して製造するくらいであれば、季節商品(定番商品の季節アレンジもあり)に集中した方がお客さんの満足度も上がるし、原価や製造効率も改善でき、従業員の労働時間も改善できる。

原価率という視点に焦点を当てると、原材料の種類を抑えることができる。原材料を集中して仕入れるため単価が下がる。高単価で販売できるクリスマス・年末年始などは季節商品を中心に展開でき、客単価アップが期待できるなど。商品数を絞り込むことによるお客様満足の向上と原価率低減メリットがあります。

焼き菓子などは絞り込むことで強い主力商品育成につながり、原価率低減のほか、生産性の向上、広域集客、WEBショップでの販売などプラス効果がいくつもあり、実際に取り組んでもらった会社でも成果を実感してもらっています。

これからのケーキ屋さんの原価計算は

これからの世の中を予測すると、

①人口減少、特に地方は人口減が進む

②人口が減るため客数も買い上げ点数も減る

③原材料やコスト、人件費などはさらに上昇する可能性が高い

④量を売る時代は終焉を迎え、単価を上げる以外に売上維持は難しい

といった社会になり、中小企業や個人経営のお店ほど今までの常識や概念を変えて“経営”をしていく必要があります。

その中でケーキ屋・洋菓子店オーナーや、これから創業しようとするパティシエは利益を出すために“経営の勉強”をすることが大事です。値づけの考え方、より高く売るための商品づくり、店舗サービスなど、お菓子を作る以外の知識や技術“経営力”も高めていくことが求められています。

オーナーの“経営力”お店が利益を出せるか、失ったまま進むのかが決まります。利益を出すことができれば自身や従業員の収入を増やすこと、未来への新しいチャレンジすること、地域への還元などにもつながるのです。

その第一歩はオーナーやパティシエが利益を出せる正しい原価計算をすること。利益が出ないなとお悩みの方は、ぜひ正しい原価計算にチャレンジしてみてくださいね。

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弊社ではこれまで開業してから約300件のご相談を承り、そのうち約160件の企業・事業者さんのご支援を行いました。もしお困りのことがございましたら、お力になれる点があるかと思いますので、お気軽にご連絡ください。

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