売上アップ、利益改善、新店舗や新商品開発、販路開拓、人材育成、採用など、経営者は様々な決定をし、成果をあげるのが仕事。
その決定に不可欠なのが情報。
様々な情報を集め、判断材料として検討し、決断の材料とします。
企業、農業に関わらず、経営者の判断や決断一つで、業績や人材育成は上下左右に、前にも後ろにも動くもの。
だからこそ、情報の質は大事。
そのために、どのように情報を得るかはさらに大事。
その中で、いろいろ情報を集めるけれど、ビジネスチャンスを逃したり、優秀な人材を失ったりする方も結構多いものも事実。
この人たちは、ある一定の情報入手ルートに依存している傾向があります。
今回は、情報を集めるけれどうまくいかないという方へ、気を付けて欲しい情報入手ルートについてお伝えします。
目次
1.Web、インターネット情報で全てわかった気になる危険
今や、インターネット、Web上には情報があふれています。
スマホやPC、タブレットをひらけば、どこにいても情報が得られる時代。
このに落とし穴にはまる人。
特に50代以上で、経験値が豊かな経営者や職人さん、に多いパターン。自分の仕事に自信があり、あらゆる苦難・経験を乗り越えてきた方。
最近、タブレットやスマホを持って、情報をどんどん手に入れられることが楽しい方。
しかも、それら少しの情報や画像で自分の得意分野であれば、だいたいどのようなものか想像できたり、把握できる方々です。
例えば、建築関係の人。何店舗も店づくりをした経営者。店舗開発担当、商品開発担当。
そのお店のホームページに写真が掲載されていれば、だいたいの建築構造や、デザインの方向性、造作の作り方などがわかる。商品も画像で見たら、作り方までなんとなくわかる。
こういう方が一番危険です。
誰もが入手できる情報、Webの少ない情報で全てをわかった気になってしまう。
仮に、良い店舗の実例があっても、中途半端な情報の理解で活かそうとするので、中途半端な店舗ができて、ビジネスチャンスを逃す。同じように作ったのに売れないと嘆く。
これがWebやインターネットで情報を集めて、失敗する典型パターン。
Webやインターネットで情報を入手するときは、二つの注意点が必要。
その二つの注意点とは、
(1)Webの情報はすでに誰かにフィルターによって操作されている。
Webやインターネットの情報は、全て必ず誰か別の人によってあげられた情報ということ。
その時点で、誰かのフィルターや判断基準、損得が入っています。
お店や商品、サービスの情報を掲載している企業は良いところだけを伝えようとします。
良い文章、良く見えるアングルやシチュエーションの写真。
さらに言えば、本当にキモとなる部分は掲載しない。見せたくない部分は見せない。
だから、マイナスの部分や、ホントはここが大事という部分、こだわっている部分、真の情報は得られない。そんな情報で判断していては、うまくもいかないし、隠れているリスクの把握もできませんね。
(2)マイナスが増幅されるのが、今のウェブの世界。
たった一人の口コミが企業全体のブランドを揺るがす時代。
特に、ウェブの世界では、マイナスの情報が連鎖的に拡大する傾向が強くあります。
例えば、旅館のサービスについて。
ある宿泊者が“○○の旅館のサービスは悪い、料理がまずい”と情報を投稿したとします。
情報のスタートはたったそれだけ。
どうしてサービス悪かったかは一言もありません。
もしかしたら、宿泊者の方がルール違反をしていたかもしれない。
その旅館のポリシーとしている料理がたまたまその方には合わなかったかもしれない。
最初から悪意を持って情報を出そうと思っていたかもしれない。
妬みや恨みによる情報。
こうなるとどうなるか。その投稿を見た人が、
もしかしたら、私も悪いサービスを受けた“かもしれない”、私の料理も美味しくなかった“かもしれない”という方が投稿する。
それが私も、私もと、どんどん連鎖していく。これがマイナス情報の連鎖です。
インターネットの情報で、悪いとか評判が悪いとの情報があったとしても、実際に見てみたり、正しく理解すると、実は大きなビジネスチャンスだったというのは良くあることです。
これがWebやインターネットで情報を入手するときに注意点です。
Webやインターネットの情報はあくまでも、きっかけに過ぎないと捉えること。
繁盛している。ビジネスがうまくいっている。その情報のきっかけ。
マイナス情報が多いということは、逆に言えば、大きなチャンスやヒントが隠れていたり、強烈に独創的で個性的な事をしているという可能性が高い。その情報のきっかけ。
一つの気づきやきっかけ程度に捉えるのが、Web・インターネット情報なのです。
2.取り巻き情報で、優秀な人材を失い。真の顧客を失う。
二つ目に気をつける情報入手のパターンは“取り巻き情報”
社内にいる時間が少なかったり、経営者の周囲に強い取り巻きがいて、そこから社内情報や、顧客の情報を得ている経営者は特に注意が必要です。
これも、情報を出す人のフィルターが入っていますね。
人間誰でも、自分を良く見せたい。従業員であれば経営者に好かれたいと思うもの。
悪いところは見せたくない、知られたくない。
今のポジションを維持し、他の人にそのポジションを取られたくない。
社内であれば、自分と相性の良い人や、自分にとって利のある人を良くしてあげたい。
人間は感情の生き物ですし、どんな人でも相性というのがありますので、これはしょうがない。
ですが、経営者が判断する情報としては非常に危険なものです。
例えば、“社内で○○さんの評判が悪い”という情報が取り巻きからあったとして、
あなたはどう対応しますか?
真偽を確認しようと考え、
“○○さん、あなたに社内の一部で不満が出ている”
という風に直接聞いたりしますね。
もしかしたら、真偽を確認せず、問いただすことや、叱責する方もいらっしゃるかもしれません。
おそらく、そのマイナス情報をもたらした人の名前は隠したり、オブラートに包んだ状態で伝えると思います。
ニュアンスとしては、
“誰が言っているかなんて、関係ない。 あなたに聞いているんだ。”
ですが、実際にはそのような事実はなかった。
あるいは、真実は違うところにあった。
仮にそうだとして、経営者と従業員。経営者や社長に対して“それは違います”と強く言える人はどれだけいるでしょうか。経営者自身が“違うのであればはっきり言いなさい”と言っても、なかなか難しいものです。
その結果は簡単ですね。
経営者や社長に対する、不満・不信、そしてこの会社や組織に所属している不安。
最悪は、人材流出の危機。
優秀な人材ほど、上昇志向をもち、発想豊かに、自分で物事を決め、自分なりに成果を出していこうとします。
経営者にとっては、必要な人材ですが、
ある一定のポジションを獲得した取り巻きにとっては、自分の立場を脅かすリスクにもなり得る存在です。
そこに人間の性が出てしまう。
悪意がないかもしれない。本人はそのようなつもりがないかもしれない。
ですが、言葉の選び方、使い方、イントネーションの違いで、情報は変化・変質していきます。
顧客のクレーム情報も同じですね。
取り巻きは、ほとんどの場合、経営者が最も信頼する従業員。経営者と最も距離が近く、情報疎通ができていると思える従業員です。
ですから、顧客からの重大クレームがあった際、顧客に対する窓口や、クレーム対応の担当者として任じられることも多いのです。
ここにも要注意。
クレームの本質とレベルが曲がってしまうことがあるのです。
正しいクレーム情報であれば問題ありません。
ですが、
クレームの原因が、業務担当者ではなく、取り巻き従業員にあった場合。
“自分がクレームの原因です”と言えるかどうか。
クレームの内容が複数要因であり、自分も関与していた場合、
“クレームに対する自分の非の割合”をちゃんと伝えられるか。
クレームの原因を、業務担当者にしてしまえば、その担当者は会社や経営者に対して、不満・不信・不安を持ちます。
クレームの原因を、相手にしてしまえば、顧客を失ってしまいます。しかも社内では、顧客に原因があるとされるので、経営者は相手の非で顧客ではなくなったと認識し、社内でクレーム情報を活かした改善すらできません。
あなたの会社にもっと良くなってほしいと、善意を持ってクレームを伝えた顧客もがっかり。自社の成長にとって、指摘してくれる本当に大事な顧客を失うことになります。
取り巻き情報の全てが悪いわけではありませんし、社内や顧客の情報を得る手段としては有効な方法です。ですが、あくまでも個人の主観、人間の性が入った情報として捉える。何か、社内外に変化やトラブルがあったときの合図のように考えておく。
社内であれば、複数人、立場や状況が違う人に確認をする。
クレーム対応は、状況に応じて、全く関係ない従業員も加える、二人で対応するなどを講じて行く必要がありますね。
3.思い込み情報は、変化を見失い、チャンスを失う。
思い込み情報のパターンは3つ。
(1)成功体験による思い込み
(2)失敗や、マイナス情報による思い込み
(3)誰かわからないけど、他の人が言っていた思い込み
世の中の変化がこれだけ大きな時代、システムや手法、技術はどんどん進化していきます。その中で変わらないのは本質。ですが手法ややり方、表現方法はどんどん変わっていきます。
例えば、
商売において、お客様に満足していただく。
これは本質です。
ですが、満足してもらえる方法はどんどん進化し、変化していきます。
商品の質。
昔であれば、美味しいものを提供していればお客様は満足した。
ですが、
今の時代、お客様は美味しさを、味だけではなく、見た目やパッケージ、商品に付随する情報、販売現場のサービス力を含めて判断し、満足するようになった。
本質と、変化して行く手法ややり方を混同してしまうことで、変化や進化できず、ビジネスチャンスを逃すのが、思い込み情報のリスクです。
過去にこのやり方で成功した。
あそこでうまくいっているから、うちも同じやり方で大丈夫。
これが成功体験による思い込み。
昔の良い体験や経験の情報が全て正しく、今も活かせると思い込んでしまう。
昔、インターネットショップを始めたけど売れなかった。
業種や人に対するイメージ。
未だに、コンサルタントは胡散臭い職業。と言われることもあります(苦笑)
あそこでうまくいっていない。
これはマイナス情報による思い込み。
過去の失敗や、昔の慣習を引きずる。時代を先取りしすぎた、成果をあげる手法が確立されていなかった。失敗やうまくいかなかった原因がわかっていない。昔と今では全然違うビジネスの流れ。改善されている情報を拒絶してしまうパターン。
あの人がああ言っていた。
世の中の人、みんなが言っている。誰かから直接聞いたわけではないけど・・・。
インターネットでこう書かれていた。新聞に書いてあった。テレビで、雑誌で、、、
これは他の人が言っていたと思う、思い込み。
出どころのわからない、なんとなくの情報。意図や恣意的に作られた情報の思い込み。意外とこれに捕らわれている人は多いです。
思い込みによって、今の変化や、新しい情報を拒絶していくと、
ビジネスチャンスを逃すだけではなく、事業として継続することも危ぶまれていきますね。
4.良質な情報を入手する大原則 一次情報を獲得しよう!
一次情報を得ることはとても簡単です。
自分で、その場に行き、実際のものを見て、実際に体験したり、食べたり、自分の視点で感じること。たったそれだけ。
今回お伝えした
・Webやインターネット情報
・取り巻き情報
・思い込み情報
は、自分の一次情報をベースとし、あくまでも副情報として活用するもの。
私もコンサルティングをしている企業の経営者や担当者に、口頭で説明するだけではなく、その企業や店舗、現場に行き、実際に見ましょうという機会が多くあります。
今の時代の良いところは、自分の視点以外に、違う視点をネット情報や、他人情報から得られるということ。
情報流通が圧倒的なので、複数の視点を持って情報を得られ、経営の決断や判断に活かせるという点にあります。
他人の情報が溢れる時代だからこそ、自分の一次情報が大事になりますし、情報の選択方法、判断するための基準も定めていくことも大事ですね。
いかがでしたか?
あなたは危険な情報入手法をしたり、依存していませんでしたか。
もしかしたら、そのことでビジネスチャンスや大きく利益を伸ばす機会を失ったり、優秀人材を失っているかもしれません。
ちょっとした情報のとりかた一つでチャンスを失う。そんな悲しいことはありませんね。
事業がうまくいかない、利益が上がらない。人がなかなか育たない。という方。
一度、自分の情報入手方法を見直して見てください。



























