中小企業の経営者であるあなたが従業員に「なぜ値上げするのですか?」と聞かれたら。あなたはなんと答えますか?
原材料や人件費、輸送費などコストが上がっているから。。。
みんなに給与を払うため、会社の利益を守るためには値上げが必要。
そう伝える方がほとんどのようです。
お客様や対外的には、世の中のコスト増等を値上げの理由としてお伝えするでしょう。
ですが値上げをする理由はもっと大事なことがあります。
原材料やコストが上がっていることは、あくまでも値上げをする一要因。
値上げの本当の理由を伝えることで、従業員の値上げに対する気持ちはポジティブに大きく変わります。
もちろん経営者であるあなたの“値上げに対する捉え方や考え方”もより高めます。
値上げは決して権利ではないと考えます。ですが経営者が企業を存続させるために直視しなければならない重要課題でもあります。
今回のテーマは“経営者版 本当に大事な値上げの理由”です
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目次
1.10年後・20年後の将来を見据えて値上げする。人口減に備える。
国立社会保障人口問題研究所の試算によると、日本の人口は2055年(いまから30年後)には9000万人になると言われています。
簡単に言えば毎年平均80万人〜90万人のペースで減っていくということ。
もっとイメージしやすいのは、地方の中核都市(仙台市108万人、新潟市80万人)、地方の県(秋田県100万人、香川県97万人、和歌山県94万人)と同等の人口が毎年減っていくということ。
人口が減っていく。食品業で言えば胃袋の絶対数が減っていく。
胃袋の数が減っても、1人あたりの食べる量は増えませんから当然、量や数は減っていく。安くして数を売ろうとしても売れない未来が待っている。
人口が減ればコストは上がり続けます。仕入れ量が減り、一つ一つは割高になる。優秀な人材を確保しようとすれば、より人件費がかかるためです。
中小企業の経営として、数・量を売って売上・利益を獲得していく戦略は難しくなります。
食品業であれば、いかに少ない胃袋の中で売上・利益を出していくか。
経営者として想定されている未来を直視し、備えること。
数や量を重視するのではなく、質・価値を重視し適正な価格によって売上・利益を獲得していく戦略へとシフトしていくことを明確に定める時期にきているのです。
2.値上げによる大事な目的はこれ!仕事や商品へのプライドをつくる!
「価格の安い商品を作り、売っている」
果たしてこれで仕事や商品へのプライドを作ることができるでしょうか?
自分の子供に誇れるような仕事として言えるだろうか?
一生をかけたい仕事、会社と持ってもらえるだろうか?
安売りを柱としている大企業に勤めているのであれば“大きな企業に勤めている”ということがプライドになるでしょう。ですが、安売りをしている中小企業であればどうでしょう。
それで利益が出ていれば、経営者は自信を持つことができるでしょう。でも従業員は?
雇用・人材育成・採用において、仕事へのプライドはとても重要です。
特に若い世代にとって、これは働く上で非常に重要な要素。
仕事へのプライドが、自分たちを高め、自発的な成長へとつなげていきます。
値上げするということは、それだけ自分たちの商品が世の中で認められるということ。
もしも価格が高いと自分たちで思うのであれば、その価値に見合うように自分たちを高めていく目標にもなるもの。
「うちの商品力は、まだまだ値上げできるような段階ではない。商品力が上がったら値上げする」 そんなことを言っていたら、一生商品力は上がりません。値上げもできません。断言します。なぜなら目標がないから。
「価格を上げて、それに見合う商品力をつけていく」これが目標です。
今まで地域で商いを続けてきた会社・お店であれば、今までに培ってきた“信頼”という貯金があります。
値上げ直後、1年間はこの“信頼貯金”が生きてきます。
この間に自分たちの力を値上げした価格以上に高める。
値上げしてもお客さんが買ってくれる。値上げしてももっと高くても良いと言われる。
自分たちはそんな商品やサービスを作っている。
そこに経営者はもちろん、従業員の仕事や商品に対するプライドが生まれてくるのです。
3.経営者にも従業員にも適正な給与と休日を。
特に地方の中小企業の従業員さん。
父親の収入だけでは家族を養えない。これが現実です。
一つの会社で長く勤め続けても、子ども一人を大学に行かせることもできない。
その一方で労基法や働き方改革の中で、労働時間や残業時間は減らさなくてはならない。休みも増やさなくてはならない。
そんな中でもっと給与を出したいと思うのであれば、時間あたりの生産性を上げ、給与単価(時給)を上げていくしかありません。
今までは同じ時間の中でより多くの数を作ることが生産性向上でした。
ですがこれはもう難しい。なぜなら売れる数・量は確実に減っていくからです。
数を作っても売れない。商品の値段を据え置いたままでは、さらに収入が減ることにつながるのです。
これからの生産性向上は、より価値が高く、価格が高くても良いと思って買ってもらえる商品を作っていくこと。労働時間を抑え休日を増やしていく中で、給与を上げていく。
そのために値上げが必要なのです。
もちろん給与や収入だけが全てではありません。ですが収入を外して考えることもできないのが事実です。
そこに労働時間や休日。家族との時間を増やす、時間への余裕を増やすことが、ベストコンディションで仕事に向き合う基盤を作る。
そのことが会社にとっても、従業員にとって、お客さんにとってもプラスになっていくのです。
4.価格競争によって誰が得をするのか?誰が負担を背負うのか?
価格競争の最大の弊害は、誰かが安い価格にするための負担を背負うこと。
「うちの売りは安さ。安くしないとお客さんは来ない」と言われる経営者や幹部の方々へ。
自分たちの価値を“安さ”とする意味は?
価格をやすくするぶん、誰がその負担を背負うのだろうか?
経営者?従業員?
取引業者?地域の生産者?
実は誰もプラスになりません。
誰かに負担を強いて継続できる商いなどありません。
もちろん経営者自身がマイナスを背負うことは、次世代にとっての希望すら失わせます。
人口減で消費量が減っていく時代の中で、価格を下げれば売上は減り、ただでさえ悪化している利益率はどんどん低下していきます、
一見、お客さんにとってはプラスに見えるかもしれませんが、価格競争で安い商品を売ることになれば、どこかで必ず負担を背負う人がいます。
もしかしたらお客さんのご主人があなたの会社と取引している会社の社員さんかもしれない。価格競争を推し進め、その取引会社にも負担を強いていたとしたら給料は上がらず、下がるかもしれない。そう考えることも大事です。
5.貧富の差はさらに拡大する。大企業との差別化をはかり、生き残るために。
日本全体の8割が中流とされた時代は既に終わっています。
年収が300万円以下の世帯の割合は約4割へと増加し、中流階層の割合は半分になりました。
一方でITやAI、ファイナンス(金融)などが一般化したことで高所得者層の割合も倍増しています。
世の中はもっと貧富の差が拡大していきます。年収の低い世帯が増えれば、価格競争が激化するでしょう。
そして所得が低い人たちが求めるのは“とにかく安いこと”
インターネットやスマホで全国から買い物ができるようになった今、日本で一番安い商品を探し出し、アマゾンのように送料無料で購入することができる時代になりました。
つまり中小企業でできる程度の価格競争は意味をなさなくなり、価格競争で勝てるのは圧倒的な資本と規模(仕入れ量)を持てる大企業だけ。
中小企業がどんなに頑張っても価格で勝つことはできません。
一方で、所得の高い人たちにとってみれば、多少高いことなど大したことではなく。
自分にとって価値のあり、その会社の独自性があるものであれば日本各地から、送料がかかっても取り寄せることができるのです。
地方にある中小企業にとっては、ピンチとチャンスが一気に来ています。
全国的な価格競争に飲み込まれるピンチ。
自分たちが自信を持って売れる商品を全国へ適正な価格で売れるチャンス。
中小企業の経営者であるあなたは、どちらを選択しますか?
ピンチではなく、チャンスを捉える。そのための値上げなのです。
6.値上げの理由を従業員へ説明して意識改革へ!
今回お伝えした経営者版 値上げの理由は従業員や社内へ説明してほしい内容。
原材料やコストが上がっているという理由だけではなく。
自分たちの会社にとって、働く人たちにとって、未来にとって、値上げということがどれだけ大事なのかを伝えていくことが社内の意識を変えていきます。
実際にこのことを伝えた企業やお店では、従業員が値上げに対してポジティブな意識へと変わっていき、値上げ後の動きも格段に良くなり、望んだ成果が出るようになっています。
値上げは経営者が決断し、具体化していくこと。
あなたが値上げをどのように捉え考えるか。
・値上げがこれから10年・20年後を見据えた時に大事な戦略であること。
・値上げは仕事へプライドを持って取り組んでもらうためのもの。
・値上げは自分も含めた従業員の給与や生活を高めていくためのもの。
・値上げで全国に通じる強い商品を作り上げていくこと。
・値上げが価格競争から脱却して独自性を高めていくこと。
このことを社内で共有化することが大事です。
値上げも正しいやり方をすれば、売上アップ・利益倍増をすることができます
ぜひ、考えてみてくださいね!
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