会議で決めても社員が動かない理由。中小企業で「会議の意味がない」が生まれる本当の原因
「あれ?それは前回の会議でやるって決めたはず・・・」
私が支援に入ったばかりのある会社。そして初めてリーダー会議に参加した時の話です。
ポロリと聞こえた社長の一声。
そこから先は、リーダーたちの「できなかった理由」が次々と出てきます。
「忙しかったので・・・」「やろうと思ったんですけど、手配の方法がわからなくて」
「社長、それ、本当にやった方がいいんですかね?」
本来、取りまとめを担うはずの幹部からも、同じような理由が出てきます。
参加リーダーの発言を聞けば聞くほど、社長の顔は苦笑い。だけど、この会社にとって、これは今回に限ったことではないと直感しました。
「会議で決めたことなんだから、やって当然」
「完璧は求めないけど。せめて、前に進めておいて欲しかった」
経営者であれば、そう思うはず。
だけど、できない。
→組織が変わらない背景については、こちらの記事でも触れています
それは、やる気や能力の問題ではありません。
実はこれ。多くの中小企業で起きている3つの要素が原因です。
今回は、「なぜ、会議で決めたことが行動にならないのか」 その本質を整理していきます。
目次
1.なぜ?中小企業で「会議で決めたことが実行されない」3つの原因
そのまま会議に参加して、よくよく話を聞いていると原因の本質が見えてきます。
誰も悪いわけじゃない。やる気がないわけでもない。会議の進め方やメンバーの問題でもない。だけど、行動できない原因が揃っていました。
原因① 会議で「決めたつもり」になっている(5W1Hの欠如)
まず気になったのは、これ。
前回の会議で、やると決めたことを聞いていくと、
- なぜやるのか?
- 誰がやるのか?
- いつまでにやるのか?
- 次の会議にどこまで進めておくのか?
- この取り組みを進める上での、現場の課題は解決していたのか?
これが決まっていないことが判明。正確にいうと、会議に参加している誰に聞いても答えられないのが現実でした。
社長はやると決めたと、思っていたけど、会議ではなんとなく決まった・・・・雰囲気があっただけ。行動に移すための当たり前が決まっていなかったのです。
②社長に遠慮して、「本音の出ない会議」になっている
「社長、これ、本当にやった方がいいんですかね?」という発言は、正直、経営者の立場からすると、受け入れがたい発言。やると決めたことを、実行もしないで、後からひっくり返そうとする発言は、非常に酷です。
だけど、そこが問題じゃない。重要なのは、前回の会議で、やることを決める時にちゃんと本音で議論したかどうかです。
- 反対しにくい雰囲気があった
- 会議を無難に終わらせようとする文化
- 結局、社長が正解で、全てを決めるという前提
→プレイヤー型社長が陥りやすい構造については、こちらでも詳しく解説しています。
その結果、
「本当はこうしたら良いのに」
「現場の状況をわかってない」
「やる意味がわからない」
「そもそも無理」
といった本音や反対意見が出ないまま、決まってしまった。
経営者なりの考え、幹部なりの考え、現場を知っているリーダーの考え。中小企業の会議は、この3つの立場が重なっていることがほとんどなので、特にこういった原因が生まれやすいことがあります。
経営者は新しい取り組みをしたい。でも現場の実情を考えれば、すぐに社長が言うようなレベルで行うのは難しい。「やったほうが良いのはお互いにわかっているけど、取り組むレベルや進め方について違いがある。そこが解決していないまま、やることになった」
まさに、その典型でした。
③現場の実情が無視された「やる事ばかりの足し算型会議」になっている
「これをやろう」「これも必要」とやることが増えていく、とにかく足し算の取り組みが多い。だけど、やる側の現場の時間は増えない。人も足りていない。
これが、現場の本音でした。
新しいイベント企画をやろう。と社長が言い始めた時、今までやっていた企画や取り組みはどうするのか?この議論もできていません。
「現場は、新しいことをやることに抵抗する」これはよく言われることです。もちろん、心理的にそういった側面があることは間違いありません。ですが「今、目の前にある仕事に、新しいものを加えられる」この視点も外してはいけない。
会議で決めたことは。現場としても、本当はやりたかったことかもしれない。
でも、時間的にできなかった。社長が現場を知っていると思っていて、うちの現場はやれる時間があると思っていても、現場の現実は違った。そういったズレもあったかもしれません。
これは、多くの中小企業で見られる、【足し算型の会議】の典型です。
2.生産性を上げる。会議で決めたことを実行させる仕組みづくり
実行できるために、経営者がしないといけないのは、仕組みを整えること、社長の役割を変えることです。
- 会議で決めたことを、行動レベルまで落とす
- 責任者と、実行する担当者を決める
- 次回の会議までに、どこまで進めるかを決める
- やらないことを決める
- 誰がサポートするのか
そして、最も大事なのは会議の中での社長の役割を「決める人」から「組織が実行できるように体制(形)を整える人」に変えること。
社長は具体的な企画や取り組みを決めるのではなく、人の役割や配置を決めることです。
社長の新しい役割として「人事の感覚で、実行できるように人を決め、動ける体制を整える」「サポートする人材は、社内は誰か。外部や業者は誰かを決め、手配の段取りをつける」
これは、経営者でなければできないこと。これができることで「決めたことを、実行できない」会議は劇的に変わります。
まとめ
この会社の会議での私がとった役割は、会議内で、社長に「新しい役割」を投げかけることでした。
- 「社長、この取り組み、責任者は誰にします?」
- 「○○さん一人だと、大変そう。誰をサポートに入れます?」
- 「これは、製造にお願いした方が良さそう。誰かいい人います?」
- 「企画を進めていくと、デザイン必要ですね。どこに頼みます?」
- 「3ヶ月先の企画なので、次回の会議でここまで進んでいれば大丈夫。それでいいですか?」
最初のうち、投げかけに戸惑っていた社長も、少しずつ、スムーズに回答してくれるようになりました。
今まで受け身で聞いていただけのリーダーたちも積極的に意見が出てきて、最初に想定していたよりもはるかに良い企画ができ、その企画の売上も今までの3倍以上と、想定を超える成果につながりました。
「いつもは長く感じていた会議が、あっという間だった」
参加したリーダーの一人が興奮した表情で話してくれたことが、良い流れに向かうことを感じさせてくれました。
会議で決めたことが実行できないのは社員のせいではありません。
組織をどのように動かすか、会議をどのように活かすか。
ここを意識することです。
確かに今までのやり方、感覚を変えることは簡単ではありません。
ですが「中小企業ほど、会議が変わるだけで、組織は動き始め、成果が生まれてきます」
だからこそ、社長が変わること。少し違う視点を入れること。
これが大事です。
【著者プロフィール】
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、価格戦略の見直しを切り口としながら、「経営者の決断を整え、組織実行までを支える伴走支援」を行なっている。地方にある中小企業250社以上の動ける組織づくりと利益3倍化を支援を行う。
「会議で決めても、動かない」
「リーダー会議が機能していない」
- 会議は多いが、実行されない
- 社長にしか危機感がない
- 幹部が育たない
- 改善が続かない
もし、そんな状態に心当たりがあるようでしたら、一度、会議の設計そのものを見直してみませんか?
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