お客様参加型でコスト削減と利益改善を。地域密着型企業の新戦略
利益アップ経営コラム

包装資材の高騰をどう乗り切る?地域密着型菓子店・食品製造販売企業ができる「お客様参加型」の新しいコスト削減と利益改善

【包装資材の高騰をどう乗り越える?地域密着型菓子店・食品企業ができる「お客様参加型」の新しいコスト削減と利益改善】

原材料や包装資材の高騰、止まらない物価高の中で、多くの経営者が「これ以上の値上げや価格転嫁は客離れや買い控えにつながる」「かといって、コストを吸収できず、経営がますます苦しい」という相談が増えています。

菓子店やパティスリー、食品業にとって、包装資材は簡単に削減できるコストではありません。商品を包装する袋やフィルム、ギフト箱、サービス箱、手提げ袋、レジ袋、保冷材、スプーン、ロゴシール・・・・。商品を製造し、販売するために必要なものです。

今回の記事では、私が実際に経験した風景から、包装資材の高騰に悩む地域密着型の中小菓子店や食品製造販売業にとって、「容器・パッケージの持参」を通じた、新しい利益改善とファン客づくりの戦略について解説しています。

 

1. 地元の小さな飲食店で気づいた「地域密着型のあり方」

地元の席数20席くらいの飲食店で私が一人で昼食をとっていた時に気づいたことです。

カツカレー。地元で実際に訪れた飲食店で気づく経営改善のヒント↑↑「実際に訪れた時に食べていたカツカレー(最近発見したお店、抜群のカツとスパイシーなルーで美味しい)。こうした日常の中に経営改善の大きなヒントがあります」

 

昼食を食べていると、地域に住む常連らしき年配の女性が、持ち帰りのメニューを頼みに来店していました。
「生姜焼きをお持ち帰りで」
「ご飯はいる?いらない?」
年配の女性と、お店の方は馴染みの雰囲気で、そんな会話が聞こえていました。

「コロナ明けからだいぶたったけど、テイクアウトの需要は残っているんだな・・・」最初はそれぐらいに思っていませんでしたが、食事中に厨房からお皿の割れる音が聞こえました。
厨房からは「・・・すみません・・・」という声。お皿を割っちゃったのかなと意識を向けていたところ、その声は先ほど持ち帰りの注文をした年配の女性にかけられたものでした。
よくよく見れば、女性の座るカウンターには紙袋があり。実はそのお皿は来店した常連の年配の女性が持ってきたものでした。
「いいのよ、気にしないで」そんな声も聞こえてきました。
どうやら、この女性は自分でお皿を持ってきて、そこに料理を詰めてもらって、持ち帰りをする流れだったようです。

私はこの光景を見ながら、「これは、地域密着型を謳う店舗や企業の、これからのカタチになる」と思いました。なぜなら、これは単に包装資材を削減するという話ではないと感じたからです。

 

2.これは「包装資材コストを削減しようという話」だけではない

①お客様にも参加してもらう包装資材の負担軽減

今、中小菓子店やパティスリーをはじめ、食品業の経営は包装資材の高騰による大きな影響を受けています。

「包材の仕入れもどんどん上がっていて、以前の倍以上になった」という中小企業経営者の相談は日常茶飯事になりました。

  • 個包装の袋、ピロ包装のロールフィルム、ケーキフィルム、プリンカップ
  • ギフト用や贈答用の紙箱や包装紙、ケーキやプチガトーのサービス箱、フードパック
  • 手提げ袋、レジ袋、スプーン、ロゴシール、ギフトシール、リボン、保冷材、

特に食品業は、包装資材がなければ製造することも、輸送することも、販売することも難しい。そのあらゆる包装資材が高騰し、商品の価格上昇や利益圧迫の要因になっています。

一方、世間を見れば、物価高騰の影響を受け、全般に「買い控えの風潮」が強まっています。特に専門店スイーツのような嗜好性が強い商品への逆風は小さくありません。

「値上げや価格転嫁で対応する」「包装資材の質を下げたり、ムダをなくす」こういった従来の対応だけで解決できる段階も超えていると感じる経営者も少なくありません。
だからこそ、今回私が地元の小さな飲食店で気づかされた「お客様にも参加してもらう仕組み」が地域密着型企業にとって新たな選択肢になると考えています。

包装資材の高騰に対して、「もっと安価な包材に変えよう」「包装を簡素化しよう」と考えるのは経営者であれば自然なことです。ただしコスト削減には注意点があります。「目についた無駄を片っ端から削ればいい」というものではありません。以前の記事でも洋菓子店のやってはいけないコスト削減のポイントについて解説しています。→「洋菓子店オーナーがやりがちなコスト削減NGポイント」

もちろん、包装資材をはじめとしたコスト上昇を価格へ転嫁する「値上げ」も会社の利益を守るためには重要な選択肢です。ただ「コストが上がったから⚪︎%値上げする」というだけではありません。どこまで価格に反映し、どこを吸収するのか?この判断こそ、中小菓子店や食品企業に求められる利益戦略です。→中小菓子店・食品企業の「正しい値上げ率計算」の考え方はコチラから。

 

②地域密着型だからこそできる、お店とお客様の距離

これが、地域密着型を続けてきた企業の最大の価値です。
「商品を売る店」と「商品を買うお客様」という関係ではなく、「一緒に店をつくっていき、継続していく関係」になり、強固な常連(ファン)化を生み出していく。

コンビニやスーパー、大手チェーン店型スイーツショップ、オンライン通販にはできない領域を明確にすることが、地域密着型企業や商店の生き残り戦略になります。

 

3.地域密着型菓子店・中小企業にとって「お客様に参加してもらえる可能性」が強みになる

今、一部の大手企業においてはこの物価高時代においても、値下げ(一部商品に限定する場合もあり)を進め、さらなる価格競争力を作り出しています。
その原動力は、標準化・効率化(省人化・機械化)・大量調達によるものです。AIやDXを用いた効率化や省人化によるコスト削減や価格攻勢は中小企業にとって大きな脅威になっています。

一方、地域密着型店舗や企業には、長く地域の中で商いを続けてきた、「お互いの顔が見える」・「融通がきく」・「常連なじみ客との関係性」という強みがあります。
だからこそ、大手企業が「仕組み」でコスト削減を進めるのであれば、地域密着型企業は「関係性」でコストを抑えていくこと、コストのあり方を変えていくことができる。私はそう考えています。

 

4.「お客様に容器を持ってきてもらう」は中小菓子店だからこそ実現できる

例えば、地域密着型企業の業種で考えてみると、

菓子店(和洋)やケーキ店、パティスリーの場合

  • 自宅にある菓子やギフト箱の再利用
  • 専用缶(通い箱)を販売して詰め替える
  • 常連客向けのマイBOX
  • 贈答用の箱を再利用
  • 瓶、缶、弁当箱、タッパーの活用

惣菜店や食品業の場合

  • マイタッパー
  • マイ容器
  • マイバック
  • マイボトル

ベーカリー、ブーランジェリーの場合

  • 専用パック
  • マイバスケット
  • マイ容器

などなど。「なんでも良い」というわけではありませんが、自分たちの商品に合わせて、お客様に容器やパッケージを設定していくことができます。
もちろん、代替パッケージを持ってきてもらうことだけではなく、不要な包装資材を省くという視点でも考えることができます。

そもそも包装資材を含めて「商品の原価」はどう考えるのか?→「菓子店の利益を出す原価計算について」

「包装資材を減らしても売れる」を実現したある食品企業の事例

私が以前にご支援していた地方の食品企業では、自社生産のこだわり卵を地元直売店で販売する際、パッケージに業務用の紙製モールドトレーを採用した商品を新たに発売。

紙製トレーにたまごをのせて、蓋はなし。そのぶん販売価格を抑え(それでも、たまごの一個あたり単価は、地元スーパーの3倍近い価格です)、ご自宅用にもこだわりたまごを買っていただき売上全体を3倍以上に伸ばすことができました。

そして何よりもたまごの品質に「たまごだけはスーパーではなく、この店で買う」という熱烈なファン客を作ることにつながり、安定売上となり、経営面でも大きな利益になっています。

販売後、店舗スタッフに聞いたところ、蓋がないことでクレームやお客様の不満はなかったそうです。冬季間の駐車場の凍結や、年配の方が車まで持っていく際に落としてしまうケースも心配しましたが、実際に起きたのは年間で2件だけでした。

 

5.「容器持参・包材持参」を成功させる要因は地元密着型店舗や企業だからこそできる「安心感」〜衛生・清潔への仕組みは必須

食品を扱う以上、「お客様の容器であればなんでもOK」というわけにはいきません。厚生労働省も、テイクアウトでは容器への詰め替えを清潔な場所で行うことや、食べるまでの時間・温度管理などを注意点として挙げていますし、食品衛生法でも営業上使用する器具・容器包装について、清潔・衛生的であることが求められています。

そのため、

  • 店舗として、受け入れ可能な容器を決める
  • 受け入れ可能な店舗や曜日を限定する(例えば、工場直売店だけにする、平日だけ受け付ける 等)
  • 汚れた容器は受け付けない
  • 容器の洗浄や消毒に関するルール
  • 自社が扱う食品に適した容器の設定
  • 商品を詰める際の衛生ルールを決める
  • 持ち帰り後の保存方法や消費期限などを伝える(紙ツールを用意する)

などの仕組みは必要になり、ここは「アイデア」だけで進めてはいけないところです。

ただ一方で、私が考えていたのは

  • 工場や工房が併設された店舗
  • 融通がきくこと

このことが、この仕組みを考える時に、地元密着型の中小企業や個人経営商店と相性が良く、大きな強みになるということです。

  • 店舗に工場や工房が併設されていれば、そこにすでに清潔・衛生が整った場所と設備があり、対応できる人材がいる
  • もしもお客様が食品に使えない容器が持ってこられた場合、自社の包装資材で臨機応変に対応できる融通さ

今までに自分たちが作り上げてきた、お店や工場、お客様との関係性はこの場面で強く生きてきます。

 

6.「パッケージ・容器持ち込み」が生み出す、新しい販促企画

「包装資材やパッケージ、容器を持ち込んでください」だけでは導入は難しいかもしれません。
お店のコストが下がる。それだけではなかなかお客様の理解を得るのは難しい。そう思われる方もいらっしゃいます。

だからこそ、「持ち込み」を活かす、新しい販売促進企画をセットで考えます。
値引きやポイント付与などが必須ではありません。

①「容器・パッケージ持ち込み」による値引き

シンプルに、包装資材分の値引きや、ポイント付与(スタンプ1個など)、価格コスト面で導入ハードルを下げる。

②ひと手間加える。「おまけ発想」の新しい商品の提供方法

持ち込まれた容器に合わせて、少しだけ商品にアレンジを加える。店舗で使う輸送・流通を前提とした包装資材とは違うことを活かす。
店舗に工場や工房が併設されている(職人やパティシエが在中している)強みを活かして、「おまけで少し多めにクリームやチョコレートを盛る・余剰のフルーツをデコレーション」など、「おまけする」という発想で商品価値をプラスにする新しい商品の提供方法。

商品にひと手間かける融通性は、なかなか大手企業やチェーン店では出せない付加価値です。特に、職人やパティシエ、ベテランの作業スタッフがいる店舗や会社では強みを発揮しやすいです。

③弁当スイーツ、重箱スイーツという新企画

「いつも使っているお弁当箱・器で、美味しさを持ち帰る」という体験企画。
例えば、父の日や母の日、敬老の日、年末年始・正月の企画として。実際に歳時記企画として取り組んでいる地方の和洋菓子店が存在します。
この場合、容器などの再洗浄・消毒を行う必要がありますので、事前予約(事前持ち込み)するなども考える。

「参加すること自体がちょっとした喜び・嬉しい企画」にすることで、新しい需要の創造や口コミも見えてきます。

 

7.地域密着型だからこそできる「新しい発想」へ

包装資材、原材料、人件費、水光熱、あらゆるコストが上がる中で、「値上げ・価格転嫁」を進め、顧客離れ・買い控えに不安を感じるという経営者の発想がいまだに根強くあります。
これからの経営に必要なのは、「お客様にコストではなく、少しの手間を担っていただく。その代わりにお客様にメリットや楽しさを提供でききるようにする」

大事なのは、コスト削減の仕組みづくりの話だけではないということです。
「お客様を、買ってもらう顧客としてではなく、会社やお店の新たな参加者として関わってもらう」関係性づくり。それが、地元密着型企業が、大手企業やチェーン店との違いを生み出す要因になっていきます。

地域密着型の菓子店には、大手企業にはない強みがあります。それは商品だけではなく、お客様や地域との関係性の近さにあります。こうした地域密着型菓子店の強みは観光市場への展開を考える際にも重要です。→「地域密着型菓子店が観光マーケットで失敗しない6つのコツ」

結びに:「売る・買うの関係」から「一緒に仕組みを作る関係へ」

今回、私が偶然見た「自分のお皿を持ってきた常連のお客様」
その時の、お客様とお店の方との会話の中には、
「ほら。暑いところ来てくれて。これお水飲んで。ほらここに座って」
「あら悪いわね」
といった、お客様との関係が深いからこその会話がありました。

最初は「コロナが明けてかなり経つのに、まだこんなことがあるんだな」と思っただけでしたが、よく考えてみると、そこにはこれからの地域密着型企業や菓子店が考えるべきヒントがありました。

  • コスト高だから値上げ、価格転嫁する。
  • コスト高だからサービスを削る。質を落とす。
  • コスト高だから誰かが我慢する。

それだけが選択肢ではありません。

暑い中、来店されたお客様へお水を出すサービスを会社としてマニュアル化する必要があるという話でもありません。

大切なのは、新しい選択肢として「お客様と一緒に、これからの時代の商売の仕組みをつくる」というアプローチを取ることで、新しいお客様との関係性を築いていく。ということがあるということです。

 

「うちの会社でも、まだ利益改善できることがあるのでは?」
そう感じた方は、一度、自社の商品・価格・販売方法・コスト構造、そして何よりもお客様と築き上げてきた関係性について整理してみてください。

単純な経費削減ではなく、「どうすればお客様に選ばれながら、利益が残る仕組に変えられるか」という視点で、中小菓子店や中小企業の経営改善を支援しています。

包装資材だけを見直しても、利益改善には限界があります。商品価格、原価、販売方法、商品構成など会社全体で「利益が残る仕組み」を考えることが重要です。これまで支援してきた菓子店・食品製造販売会社の利益改善事例はコチラにまとめています。

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