値上げは現場が反対する。「お客さんが高いと言います」への正しい返し方

中小企業の利益を3倍にする経営改善コンサルタント 本田信輔です。

今回のテーマは「値上げするときに従業員に伝える言葉は何か」です。

値上げをしようと決めた時、現場リーダーや従業員から、よく出てくる声があります。

「社長、うちのお客さんに、その値段では売れないです」

「お客さんが高いというと思います」

実際にある菓子店では、社長が値上げをしようとした時に、経営者が一番の信頼を置いている古株の店長から、「社長、値上げをするなら、お店の売上に責任が持てないです」と言われたケースもあります。

もちろん、会社を思って心から心配してくれる従業員もいます。

しかし一方で、自分自身の不安を、お客様の声として代弁するケースも少なくありません。

 ー 値上げに一番不安を感じているのは経営者なのに ー

だからこそ、現場リーダーや従業員には自分と同じ方向を向いて、共に厳しい状況を一緒に乗り切っていきたい。

そう思うのですが、“現場の値上げに対する反対意見”で思うような値上げができなかったり、値上げ自体を躊躇したり、延期してしまう経営者も少なくありません。

値上げの理由は

「原材料や経費が上昇して、値上げをしなければ経営が厳しい」

「従業員の人件費も上げていかないといけない」

もちろん、そのことを現場にも伝えているし、従業員も理解していると思うのですが、それでも不安が拭えない。そういったとき、経営者は現場にどういう言葉を投げかけたら良いか。

ここが社内の値上げに対する不安を軽減させ、会社が次の成長に進めていくための大事なキーワードになります。

 

1.値上げに合わせて、私たちの価値を高めていく。

値上げに対する不安を口にする従業員は“今の商品価値やサービスを軸に”価格を考えています。今と同じであれば、価格を上げるだけになるから、お客様の不満になる。

だから「お客様に申し訳ない、売れなくなる」という不安になる。

値上げだけが意識にあって、商品やサービスの価値を高めるという視点が抜けているのです。

まず、経営者が伝えることは、

◎「今の商品やサービスに合わせて、値づけ・値上げするのではない」

◎「値づけや値上げに合わせて、商品やサービスの価値を高めていく」

ということです。

地域に根ざして、長年商いをしてきた会社・お店であれば、値上げをしたとしても、すぐにお客様が離れることはありません。

本当の影響が出てくるのは半年後。お客様は、「値上げした価格に合わせて、商品やサービスがどのように成長していくか」を見ています。

現場リーダーや従業員には

「値上げしてもお客様が満足してもらえるように、どうしたら自分たちの価値を高めていけるか考えていこう!」

と伝えてください。

これは“値上げ=責任”ではなく、“値上げ=成長目標”に変換する言葉。

“値上げした分を、自分たちの成長目標に変換する”ことにつながります。

値上げしても売上や客数が落ちない会社の経営者は、このことを大事にしています。値上げと共に、自分たちの価値を高める努力を会社一丸で取り組んでいく考えを持つことが、次の値上げを行う基礎づくりにもつながります。

2.お客様に選ばれるように仕向けているのは自分たちと理解する

“お客様に選ばれている”確かにこれは事実。

ですが、会社や店舗が“お客様に選ばれるように仕向けているのは自分たち”というのも事実です。

つまり、

・安い商品を多く並べ、安売り企画を実施していれば、“安いものを求める”価格指向のお客様を呼び込んでいる

・店舗が汚かったり、整理整頓ができていなければ、”雑然としたお店で良い”という客層を呼び込んでいる

「社長、うちのお客さんに、その値段では売れないです」

という現場の声は、今のお客さんを前提としていること。

自分たちが、

・価格訴求から、価値訴求に変わっていく。

・掃除や整理整頓といった、基本レベルを高めていく

ことで、お客様や地域も変わっていいきます。

◎「お客様や地域が変わる(値上げした価格に慣れていく)前に、まずは自分たちが変わる努力をする」

ことを伝え、

◎「掃除や整理整頓、身だしなみと負った当たり前のレベルを一段階高めていく」

といったすぐにできる言葉と行動を現場と共有することです。

実際、値上げをした時に、一番増えるお客様のクレームは“値上げをしたこと自体“ではなく、

・掃除や整理整頓がちゃんとできていない

・従業員の身だしなみが乱れている

・従業員の言葉遣い

といったところに出てきます。

自分たちは今までと変わらずにやっているのに、なぜかクレームが増えた。理由は明確。

お客様が値上げによって、あなたの会社を見る基準が上がったこと。

商品の品質には納得しているし、昨今の原材料やコスト増を考えるとやむを得ないと思っていても、どこかに値上げした分を求める現れです。

だからこそ、現場の意識を変える言葉や行動が必要になります。

3.値上げの責任は“経営者”にあることを明言する

値上げについての不安をゼロにすることは難しいです。

経営者も不安だし、現場リーダーや従業員もそれは同じこと。

どこかで踏ん切りをつけて、前に進まないと値上げはできません。

ただ、大事なのはここから先。

◎「値上げの責任は、私(経営者)が持つ」

これをはっきりと現場に伝えること。

当たり前のことですが、中小企業で価格を決める権限を持っているのは経営者です。

とはいえ、責任感のある従業員ほど値上げの責任を自分で負おうとします。

だからこそ、値上げに対しての不安を持ったり、反対しがちになります。

そういった現場の不安を払拭するのがこの一言。

現場の心理的負担を取り除くことにつながります。

その上で、現場リーダーや従業員とは、

◎「値上げ後の成長をみんなと一丸で進めていきたい」

今までに数百社の値上げをしてきた経験からいうと、正しい値上げをすれば、ちゃんと成果が出てきます。成果が出れば、従業員やリーダーの不安はあっさりと解決し、次の改善に向けて動こうとします。

値上げに関する初動は経営者。トップが責任を持つと明言して動かなければ、不安を持つ現場はついてこないということです。

まとめ

「値上げをするとき1番の敵は、“社内”と“経営者の家族”です」と、

セミナーや講演ではお伝えしています。

会社を大事に思っているからこそ、敵対ということが多いのですが、

それでも、値上げの不安を抱えながら進めていこうとしている経営者にとっては、大きな障壁になることも少なくありません。

そのために、値上げをどのように社内へ説明し、どのように考えていくかを伝えるかが、値上げを成功させ、会社一丸となって次の成長につながるかが決まります。

・値上げに、自分たちを価値を合わせていく(高めていく)

・自分たちが変わることで、お客様も変わる

・価格や値上げの責任は経営者が持つ

この3つのを現場に伝えることが、

「価格を上げた後に”満足度の上がる会社“に共通する行動です」

現場にどのように伝えていくかは、会社や組織風土ごとに異なります。

価値の高め方も、決められた方法ではなく、あなたの会社にあった独自のものがあります。

迷うことがあれば、一度無料経営相談を活用ください。

【筆者プロフィール】

中小企業の利益を3倍にする経営改善コンサルタント
本田信輔(株式会社ミタス・パートナーズ代表)
地方の中小企業を中心に、「強みの再発見と価値化で利益を高める」「価格より価値で選ばれるブランドづくり」を支援。

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