「こんなに経営は苦しいのに、なぜか現場はそれをわかってくれない」
毎月の会議で、売上や集客が落ちていることはわかっているのに。幹部やリーダー・店長たちに危機感を感じない。
社長が色々と話しているけども、現場にどうにかしようと思っている雰囲気はなく、どこか冷ややかで、淡々とした「沈黙」だけ…。
言われたことだけをやっていればいいという雰囲気が強い。仕事に対しての「当事者意識」が足りないと不安になる。
そう感じることはありませんか?
経営環境が厳しさを増す中で、多くの中小企業経営者は「今のままではいけない。なんとかしないと」と危機感を募らせています。
新しい取り組み、新商品、販路開拓。少しでも売上と利益を獲得する。そのような改善策は世の中にたくさんあります。今の時代、AIに聞けば改善の方法論を出してくれることもあります。
しかし、自分の会社や現場に、その方法論を持ち込もうとした途端。
「今の仕事で手一杯」
「それ、誰がやるんですか?」
「また、社長が何かやろうとしている…」
という壁にぶつかり、結局は社長だけが孤軍奮闘するか、掛け声だけで終わってしまう。
経営者の危機感が現場に伝わらず、組織として動けない。
今、多くの中小企業経営者がぶち当たっている壁です。
なぜ、これだけ厳しいのに、リーダーや現場が危機感を持てず、変わろうとできないのか?
どうすれば、経営者の危機感を、現場が感じてくれるようになるのか。
今回は、このテーマでお伝えします。
目次
1.誰よりも働く社長と、冷ややかな現場の「大きな温度格差」
これは、実際にあった、地方の中小企業の会長さんからのご相談。
「うちの社長は頑張っている。経営の方向性も間違いない。危機感を持って休みもなく、誰よりも働いている。
でも、社内を見れば、誰も社長に協力しようとする気配がない。
むしろ、言われたことだけをやればいいという風潮が強くなって、商品の品質やサービス力も落ちてきた気がする」
このような、ご相談を受け。
実際に、その会社へ訪問した際。
確かにその会社の社長は頑張っていました。話をすると危機感も強く持っています。
- 誰よりも朝早く出社し、休みも会社に出てきて何かをやっている。
- 少しでも売上を獲得しようと、全国の百貨店への催事にも自ら出かけていく。
- 新しいことを吸収して、自社で実践しようとしている。発想も柔軟性もある。
しかし、現場を見れば。
- リーダー、現場スタッフに社長に協力しようとする雰囲気がない
- 「社長がまた何かやり始めたんでしょ」と興味も持っていない。
- 言われたことをやればいいという仕事の向き合い方で、既存商品の品質や、店舗でのサービス力も低下している。
まさに社長の頑張りと、現場が反対を向いている状況。
ただ、社長の言動や現場の反応を見ていると、気づくことがあります。
2.数字を伝えても、なぜ「危機感」は現場に伝わらないのか?
売上や生産性は、毎月の会議等で幹部や現場リーダーに共有されています。
そのたび、社長は
「努力が足りないのでは?」
「前回、やると決めたことはやれたのか?」
「ムダが多い」
「何も考えていない」
「当事者意識が足りない」
という問いかけばかり。
すると、会議に参加するメンバーはどんどん萎縮し、何も発言しなくなり。
最後は、社長がやることを全部決めて、現場に指示する。
数字は共有されているのに、
危機感だけが共有されていませんでした。
3.社長は間違っていない。でも、伝わっていなかった
その会社の社長とお話しすると、よく出てくるフレーズが「本田さん、わかるでしょ」と。
- 自分がやっている方向性は間違っていない、確信もある。
- 今を乗り切らなきゃいけないから、売上を取りにいく。利益をとるところも見えている。
- 催事に社長自身が行った方が売上も上がる。人も足りない時には現場にも入っている。
明確な戦略や具体策は持っているのです。しかも大きくは間違っていない。
ですが、一番ポイントになっている、危機感を現場に伝える言葉がないのです。
「経営者が弱みを見せちゃいけない」
「自分の行動を見て、感じて欲しい」
そんな思いから、現場に社長が持つ危機感を伝えることに躊躇や迷いを持っている側面もありました。
多くの経営者は、数字を見せれば。自分が頑張っている姿を見れば。
危機感は伝わると思っています。
経営者が危機感や弱気な部分を見せてしまえば、現場に不安感を与えてしまう。
そう思い込まれている方も少なくありません。
ですが、現場は数字では動きません。
現場が感じている。みているのは、
「今日の仕事量、目の前のお客様、明日のシフト」
現場が動くのは、「自分の仕事としての意味が見えた」とき。
経営者が見ている「数字や、今後の危機感」と、
現場が見ている「今日の忙しさ」は、全く別のものです。
危機感は、説明するものではなくて、
現場の言葉に翻訳して、はじめて伝わるもの。
社長と現場の危機感はなぜズレるのか?組織を変える翻訳術について、こちらで詳しく解説しています。
4.外の視点で、翻訳し、伝える
社長は言えないことがあります。
社長が言うと、「指示」になることもある。
不安や弱さ、迷いを見せてしまう言葉もあります。
まずは、第三者の目線で整理してみること。
「なぜ、やるかの意味を共有する」
ここに、大きな違いがあります。
私もよく、クライアントの経営者から「本田さんから伝えて欲しい」と依頼されるケースが少なくありません。
社長の思いを知っているからこそ、会議で私が「私も経営者。もしも、私がこの会社の経営者であれば。なぜなら…。」
という形で伝え、現場と一緒に考えることもあります。
外部の、第三者ということも、影響しているかもしれません。
社長の考え方を、組織が感じること。
そこから組織が「動いた方が良い」と感じてもらうこと。
この入り口を大事にしています。
社長が100回言っても変わらない。なぜ、内部の人間で改善が進まないのか?外部の視点を活かす必要性について、こちらで詳しく解説しています。
まとめ
経営者は孤独です。
なかなか思いを共有してもらえない焦りや悲しみもあるでしょう。
もしも同じような違和感を感じているのであれば、
問題はやり方ではなく、伝え方の整理かもしれません。
現状を言葉にする。
まずはここから、始めていきましょう。
【著者プロフィール】
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、価格戦略の見直しを切り口としながら、「経営者の決断を整え、組織実行までを支える伴走支援」を行なっている。これまでに地方にある中小企業250社以上の動ける組織づくりと利益3倍化を支援を行う。
「このままで良いのか」と悩む方へ。
もし、
「誰かに話を聞いてほしい」
「気持ちをわかってほしい」
そういう方の相談。私でよければ伺います。
経営者の判断に寄り添う相談を大切にしています。
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