地方企業がコラボで成功する7条件|知らなきゃできない

中小企業の利益を3倍にする経営改善コンサルタント 本田信輔です。

先日、東北のある県で地元食品事業者むけに講演をさせていただいた際、

参加された方からこんな質問を受けました。

ー 「販路開拓の一つの方法として、コラボをしたいんだけど。どうしたらできますか?」 ー

確かに中小企業にとって、自分たちと接点がない新しい顧客や販路を獲得できるチャンスがある企業コラボは非常に魅力的です。

よくコンビニなどで、アニメキャラクターとコラボした会社の商品が、あっという間に売り切れたという話も聞くこともあるので、大企業や有名キャラクターや芸能人とまでは望まないけど、

「うちも地元の企業同士で組めば、何か生まれるかも・・・」

と考える方も少なくありません。

ですが、地方のコラボは“成功すると爆発的な相乗効果が出る”一方で、“失敗すると静かに関係性が悪くなっていく”という繊細な取り組みでもあります。

そこで、今回のテーマは「地方の中小企業がコラボで成功するために欠かせない7条件」です。

地方で、数多くの現場を見てきた私なりにまとめています。

1.「仲が良いからやる」は失敗の典型。まずは目的を一致させよう

地方の企業同士がコラボするとき、地域内で横の繋がりが強いので、仲が良い経営者同士が話して、「せっかくだから一緒にやろう」といった温度感でスタートすることが多いです。

ですが、これがうまくいかない第一歩。

コラボする目的が曖昧だったり、お互いの目的がズレいたりすると、

A社は相手の販路でも売上を取りたいと狙っている

B社はブランド認知度の向上を狙っている

こんな具合で、コラボ完成後の方向性が全く違うことがあります。

当然。お互いの求めることが違うから、連携した行動もなかなか一致できず、コラボ本来の相乗効果を発揮できないで空中分解 ー なんて失敗するケースも見てきました。

まずは、コラボで“何を得たいのか”を共有する

お互いの求める利益をちゃんと認識して、進めていく。

これだけで、コラボプロジェクトの精度が大きく変わります。

2.強みの掛け算になっているか。(弱み同士ではやらない)

私も地方で、いろいろなパターンのコラボを提案したり、具体化するお手伝いをしてきました。

・地元企業×地元企業

・地元企業×道の駅

など、企業間に限らず、道の駅といった観光施設とのコラボも少なくありません。

その中でコラボを成功させるための重要な要素になるのが、「強み×強み」で組み合わせを作ること

例えば、

・お互いに強い販路や顧客層を持っている

・お互いに強い主力商品や素材を持っている

・認知度の高い主力商品を持っている会社と、広い販路を持っている会社

いろいろな組み合わせはありますが、お互いに強みを持ち合って組み合わせるコラボは成功します。

特に食品業の場合。強い主力商品を持っている会社のコラボは強いです。

 

今までに、携わってきた事例を見ても、

・菓子店(高い技術)×酒蔵(歴史ある強いブランド力)

・農家(素材力・原材料の物語)×食品加工メーカー(商品化技術と販路)

・老舗(信頼)×若手企業(SNS発信力)

・地元企業(商品開発力・販売力)×道の駅(公共性・集客力・地元イメージ)

・食品製造業(商品力、単品知名度)×芸術家・デザイン会社(デザイン力)

そのほかにも、美容系会社(イメージ・機能性)、教育機関(学術的強み)とのコラボなど。

業種ごとの組み合わせよりも、その会社や組織の強みという視点を加えて企画を組み立てると、今までにはない「常識を超えた新しい価値の創造」になることが多く、話題性などの面でも大きく。集客力が倍増するなど劇的な成果を上げた事例も生まれています。

一方で、「困っている同士」だったり、「片方の強みに依存する」パターン。弱いところを補おうという発想で進めるとうまくいきません。

―よくあるのは、相手の販路に期待してしまう(相手の販路を借りたいだけ)ー ケースの組み合わせは失敗しがちです。

3.お互いが利益を取れる構造にする

地方コラボで最も危険なのは、

「どちらかが思ったほどの利益を取れない」こと。

利益の取れる価格設定への自由度や、コラボする商品の生産性が高いことは大前提です。

コラボをするということは、相手にも販売してもらうということがよくありますので、製造している側は卸すということが起きます。さらに協力して販売していくパートナーですから、

・他社よりも優遇した掛け率でという場合もあります

・コラボ用に小ロットの独自パッケージや販促物を作るなど、想定外のコストがかかることも少なくありません。

・どちらかが在庫を抱えるケースも起きる。

これらを踏まえて、双方が利益を取れる形にすることが不可欠です。

― 優遇した掛け率で卸をしても利益が取れる生産性の商品であること ―

例えば、菓子業の場合、コラボをするなら最低でも人時生産性30,000円以上(理想は50,000円以上)の商品であることとお伝えしています。

また、コラボ商品の本質価値は“希少性”

本来は積極的に価格を上げやすい商品です。同じ価格であれば価値が上がる。だから売れる。

認知度を上げることが目的ですよと言っても、会社である以上、利益が取れなければ継続できなかったり、次回につながることも無くなってしまいます。

・通常より掛け率が低くなっても、ちゃんと利益の取れる生産性を持った商品でコラボする

・小ロットであることも踏まえて、利益を取れる構造にする

・期間限定や数量減退などを用いて、価格の自由度を持っておく(通常価格よりも高くなりことも視野に入れておく)

お互いが利益を取りやすい仕組みを作れるかどうかが、コラボ成立の重要条件です。

4.お互いの負担とリスクを“見える化”して不平等感をなくす

地方企業同士のコラボで揉める要因に、「うちの方の負担が多い問題」があります。

よくあるのは

一方は、素材だけを提供。あとは相手が商品開発・製造・販路開拓までもしなければいけないケース。これはよくあります。

コラボは本来、対等な協力関係であるはずなのに、一方がほとんどを担っている場合です。

必ず、コラボを具体化する前に

・商品開発の主担当はどちらか

・製造量や設備利用はどちらが担うか

・品質トラブルの責任は?

・販売の主戦場やエリアはどうするか

・価格設定(卸の掛け率設定等も含む)や、在庫リスクに対する責任の割合。

・SNSや広報の分担は?

こういったことを、決めておく必要があります。

不平等感が出た瞬間、企業同士の“関係性”や“信頼感”までも失われてしまうことがあるので気をつける点です。

5.イメージの整合性を揃える

コラボする上で、自分たちの“ブランドイメージ”や“目指す世界観”にズレがあると本業に大きなダメージとなったり、既存顧客の離脱につながることがあります。

・色使いやパッケージの雰囲気

・自分たちがターゲットにする顧客層との相性

・高単価なのか、量販価格なのか

・店舗や会社の世界観との整合性

・会社が目指す方向性や将来ビジョンとの整合性

・コラボ展開の規模感の整合性

こういった部分を整えておくことで、既存のお客様に対する説得力は増し、社内における説明もより具体性や納得性を持って行うことができます。

後から、「そんなつもりでコラボしたわけじゃない」とならないように、コラボは双方の将来にもメリットがあるように考えておくことが、コラボの成果を最大化します。

6.地域全体のためになるコラボは成功率がさらに高まる

地域全体にプラスになるコラボは、大手企業ではできない、地方会社同士が協力する強みになります。さらには、自治体・観光協会・道の駅・商工会議所などの協力を得られたり、プレスリリースで積極的に地元マスコミも取り上げてくれるなど、成功率が上がります。

地方企業同士が組む、“地域性”“地縁性”を活かすことで、価値も上がりますね。

・地域素材の有効活用

・地元行事や伝統文化の取り込み

・地元が抱えている課題や問題の解決につながる

・地元の技術や人材の有効活用

などをコラボのテーマに組み入れておくことはオススメ。

コストをかけなくても、宣伝や広報協力を得ることができます。

7.継続と同じくらい、“撤退の容易さ”も大事にする

地方企業同士のコラボは関係性があるために、継続前提ではじめがちですが、実は逆。

成功しやすい、コラボは「やめやすい仕組み」もちゃんとしています。

どちらかがコラボを継続できなくなった。コラボのメリットを感じられない。経営者や担当者が変わった。などなどさまざまな要因が出てきます。

コラボをするなら

・期間限定(一定期間が経ったら、継続するかしないかを協議できるようにしておく)

・小ロット生産で試してみる(小ロットでも利益が出ることは前提に)

こういったことを最初に決めておきます。

これにより、売れたりメリットが大きかったら継続延長したら良いし、売れなければ早めに撤退して、次を考えることができますし、その後の会社同士の関係性も維持することができます。

まとめ

私が地方企業同士のコラボ・連携をサポートするときは、

今回お伝えした内容を、双方の立場でまとめ、お互いの利益やメリットが最大化するように、企画内容を高めていきます。

地元企業同士だからこそ言いづらいことも、間に入って調整することを大事しています。特にお金や売上・利益に関わる話はしづらいというお悩みもよくあります。

地方企業同士のコラボは、成功すると大きな武器になります。

新しい売上、客層、販路、企画。自分たちだけではできないような価値創造につながります。

やり方は、実にシンプル。

・目的を一致させること

・強み×強みの掛け算になっている

・双方が利益を取りやすい仕組みになっている

・負担とリスクを見える化する

・ブランドの整合性を揃える

・地域性を加える

・撤退しやすさも考慮する

この“7項目”をちゃんと抑えて企画・設計することで、新しい道を拓きます。

ぜひ、次の一歩の参考していただけたら嬉しいです。

【筆者プロフィール】

中小企業の利益を3倍にする経営改善コンサルタント
本田信輔(株式会社ミタス・パートナーズ代表)
地方の中小企業や一次産業、自治体・道の駅を中心に、「強みの再発見と価値化で利益を高める」「価格より価値で選ばれるブランドづくり」を支援。

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