中小企業の利益を3倍にする経営コンサルタント本田信輔です。
新型コロナウイルスの感染が始まった2月末〜3月、全国緊急事態宣言下の4月、そして異例のゴールデンウィーク。
各企業・店舗で様々な結果が出てきているかと思いますが、今入っている菓子店の売上動向、お客さんの傾向など。色々な情報が入ってきましたのでまとめています。
今では新型コロナウイルスとの共存が前提になりつつあり、アフターコロナというよりはwithコロナが言われています。感染対策をしつつ、経済を回すことに重点が置かれ始めています。
感染が始まった時期、地域や状況は様々。
北海道のように早い段階で緊急事態宣言が発出された地域。
東京や大阪など感染者が多い特定警戒都道府県。
比較的、感染者の少なかった地域など。
感染者数が多く、特定警戒地域となったところでも売上アップを実現した店舗があったり。逆に感染者数が少なく比較的影響が少ないと思った地域でも大幅に売上を落とした店舗があったり。
一概に感染者数の多少によって、売上が増減などの安易な見方はできないといえます。
コロナ禍の3月・4月、そしてゴールデンウィークの動向。
売上アップと大幅ダウンの違いを生んだものは何でしょうか。
withコロナとなったこれから、売上を伸ばしていく菓子店の特徴は?
売上を伸ばした企業のポイントを動向と合わせてまとめています。
目次
1.感染が実態として認識され始めた2月末・3月の傾向は。
クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス内で集団感染が認められ、マスコミがこぞって報道を始め。
北海道の鈴木直道知事が「週末の外出を控えてください!」と全国に先駆けて緊急事態宣言を発したのが2月28日。
北海道の菓子店では緊急の対応に追われました。
直近の「ひな祭り」「いちご祭り」など週末の催事・イベントを控え、原材料やチラシなどの販促物も既に準備済み。そのまま全てを無駄にできないと催事を実施。
体験企画など感染確率の高い企画内容の中止や変更、チラシの新聞折込を控える、マスク着用など店内の感染予防を徹底する、カフェ・飲食部門の営業休止、営業時間の短縮等々。
その当時、考えうる感染予防を行なって営業を行いました。
催事期間の売上は昨年対比で60%〜70%程度に落ち込んだとの報告を受けています。
ところがその後はやや盛り返し、月単位で見ると昨対比80%〜90%で着地しています。
緊急事態宣言が発された週末は大きく落としたもの、その後の週末やお彼岸などの歳時記で取り返したことが大幅な売上減を回避したことが要因です。
全国で見れば観光からの売上が大きく減少。地元と観光の両方を獲得している店舗では、地元客からの売上は落ちず、観光客からの売上分が減少しています。
一方、北海道を除いて売上アップ〜維持したケースは感染予防を徹底した上で、予定していた催事やイベントを行なった企業や店舗。
例えば、山形県の店舗で3月中旬の催事を予定していた企業では、
・イベント期間を金土日の3日間から1週間に延長。催事期間のイベントは日にち限定とし、催事商品の販売期間を延長する。
・当日のチラシ折込を中止。配布予定のチラシは印刷部数を8割減らし、店内の手配りに限定して配布。
することで来店のピークを緩和・分散するなどの対策を行なった上で催事を実施。結果は昨対比を超えた売上105%。広告宣伝費を抑えた分、利益アップする結果となりました。
3月はまだ新型コロナウイルスの影響を受けない地域が多かったようです。
北海道のように感染拡大がいち早く認識された地域、観光客の多い地域を除いて全国的に売上は堅調。
もしもこの時期に大きく売上を落としたとしたら、それらコロナウイルスだけではなく、企業や店舗ごとに別の要因があると考えた方が良いと考えます。
2.4月。全国で緊急事態宣言へ。売上アップと大幅減。業績は二極化へ。
安倍晋三首相が7都道府県だった緊急事態宣言の対象を全国へ拡大としたのが4月16日。この頃より菓子店の売上動向は売上アップをする企業・店舗と、大幅に売上を減らす企業・店舗へと二極化しています。
売上アップをした企業や店舗は感染予防を徹底した上で、
・“酪農家応援イベント”として酪農家と連携し、牛乳を多く使う商品の拡販キャンペーンなど、地域産業を応援するような企画に取り組んだ
・在庫一斉還元セールとして、オンラインショップを中心に特別商品の販売企画を実施した
・ご予約受け取りサービスや簡易ドライブスルーなど感染防止を考えた新しい販売方法の導入した
・季節商品、歳時記商品などを例年以上に考えて開発・販売した
・デイリー需要をターゲットとした新商品の投入・発売した
などに“いち早く”取り組んだところ。
こういった取り組みのFacebookやTwitter、InstagramなどSNSによる発信は、自社顧客へのアプローチとともに、マスコミなどの注目を受け、テレビ・新聞等の報道も追い風となり売上を伸ばす結果となりました。
売上は大幅アップ。昨対比130%以上となるケースも多くなっています。この傾向は地域をあまり問わず。関西圏など特定警戒地域であっても売上を維持したり、大きく伸ばす結果が出ています。
一方、売上を大幅に下げたケースは全国的な自粛とともに
・イベントや商品等の極端な自粛を行なった(何もしなかった)
・商品アイテム数を減らし、店頭在庫なども極端に減らした
・贈答やギフト中心の売上が大きかった
・競合や他社の動向を見てから動き、取り組みが後追いとなった
・観光客中心の売上だった
これらの企業や店舗では売上を大きく落とす結果となっています。
確かに感染拡大への不安や、集客への不安はあったかと思います。
全国的な移動自粛で観光客がほぼゼロになるなどやむを得ない場合もある一方で、地域密着型店舗であっても自粛への気持ちが店内や商品にそのまま反映され、結果として魅力のない店舗・商品構成になってしまったり、想定以上の来客に商品在庫が足りず販売チャンスロスが発生したことが、売上減の要因、売上を伸ばした企業・店舗との差になっています。
3月末〜4月頭。本来の需要期であるギフトや贈答は苦戦。
一方でデイリー商品や季節商品・歳時記商品の売上は増加。洋生・ケーキ類、季節の朝生類などは好調で、いつも通り・以上の商品展開をすることで売上獲得ができています。
また、ある洋菓子店ではゴールデンウィーク期間に調理パンを新発売してもらいました。外出自粛で自宅にいる時間が長いことを踏まえて、お菓子と食事の中間を狙い、売上のプラスになる商品投入ができたことも良い結果につながっています。
お客様の動向としてはできる限り感染を予防する。外出自粛で自宅から出る機会を減らす。といった環境下で“せっかく買うのだから” “その時は頼りになるお店で”という思考が働いていると予測しています。
せっかくお店に行ったのに商品がない・少ない、店内に明るさや楽しさがないのは嫌。
テレビやネットを多く見る時間が増えるのなかで、新しい取り組みや地域と一緒に頑張っている企業や店舗を知り応援したい。
などの声も多く、売上アップと売上ダウンの差を生むものになっています。
4.今まで経験したことがないゴールデンウィーク。売上のピークは5月5〜6日。それ以降の傾向も。
県境を越えた移動自粛要請などもあり、これだけ人出のないゴールデンウィークは初めて。
大型商業施設、道の駅、ディズニーランドなどの遊園地や遊興施設、観光施設、エステやスポーツジムなど、様々な業種・施設で休業が多かった時期。
営業自粛要請のあったパチンコ店に行列ができるなど、一部で問題提起された事象もありましたが、多くの日本人が日本人としての本領を発揮した時期でもありました。
ゴールデンウィークについては感染拡大防止のため休業した企業やお店もあり。
この時期は徹底的な感染予防を行なって営業するか、休業するかによっても業績は違いますが、営業したお店の売上動向としてまとめます。
営業したお店ではゴールデンウィークの前半はやや苦戦。昨対比80%〜90%程度で推移しているケースが多くなっています。
今年のゴールデンウィーク。ピークは「こどもの日」当日・翌日の5月5日〜6日は昨対で大きく売上を伸ばしています。こどもの日ケーキなどの売上も好調。
ゴールデンウィーク中に催事を実施したお店(3密を避けるための入店制限、営業時間短縮、チラシ折込の中止などを行なった上で)や、地域の農家さんが店外で路面販売やトラック販売を行うなど地域の生産者さんや事業者さんを支援するような取り組みも成果につながっています。
またゴールデンウィーク以降の5月7日〜10日前後も昨対超えが続き、特に「母の日」期間については大きく売上を伸ばしたお店も多い傾向が出ています。
5.売上アップと売上ダウンは何が違ったのか?
コロナ禍であっても、感染者数の多い地域のお店であっても、
売上を伸ばした会社・店舗の特徴は何か。
いくつか挙げてみます。
①感染予防を徹底した上で、本来行なっている歳時記催事や季節商品販売を実施した
②例年以上に企画を強化することで「ひな祭り」「お彼岸」「子供の日」「母の日」などの歳時記で売上を大きく獲得した
③コロナ対策として、予約受け取りや簡易ドライブスルーなど新しい取り組みをいち早く実施した
④地域の農家や事業者と連携した協力イベント・キャンペーンを実施した
など自粛ムードの中であっても、菓子業としてやることを平常以上に取り組んでいたことが挙げられます。
また新しい取り組みを“いち早く”実施に移したことが大きな特徴。
これらにより、営業時間の短縮や入店制限などを行いつつも売上を伸ばしています。
こんな時でもお客さんや地域の人、子供たちはあなたの会社・お店・従業員を見ていたということ。
一方で売上を落としたケース。
①自粛という中で、自分たちの行動も自粛・縮小してしまった。
②周りを見ながら動き、取り組みが後追いになってしまったり、何もできずにいた。
などが挙げられます。自粛という中で何もしなかったところが売上を下げてしまった傾向。
こういった特徴の違いは対外的なものだけではないと考えます。
経営的な要素も大きい。次は経営的な面から見た考察です。
6.安いから売れるはなかった。価値を作り上げてきた企業・店舗は強かった。
経営的に見れば、価格を安くしてという商いをしてきた会社や店舗は苦戦をしています。
経営として価値を創り、適正な価格で販売する。この方針で進んできたところは強い。これが結果です。
これらの菓子店の特徴は
①自分たちの価値が何かを定め、価格よりも価値を重視した経営をしていた。
②価値が大事なことを従業員も理解してくれていて、危機に当たっても一人一人が自分たちに何が求められているかを考え、確信し、発案し、新たな取り組みも素早く行動に移すことができた。
③利益化が進んでいる、もしくは利益を出す体制が作られつつあり。コロナ危機に対して資金的にも精神的にも余裕を持って対応できた。新しい対策にも人的・資金的な投資することができた。
④そういった結果としてお客さんが“間違いないお店”として来店してくれたり、“こういう時こそ”とオンラインを通じて商品を購入してくれた。(いつもは適正な価格で売っているお店が、緊急販売として特別価格で販売することで、多数の注文を得ることができた)
⑤利益によるストックがあったため、従業員へ一時ボーナスの給与支給をするなど社内の一体化、協力体制が強化できた
こういった経営をしてきたベースがあって。
もちろん、影響の長期化を見据え資金繰りの対応など経営者にとって気の抜けない日々でしたが、従業員も積極的に動き、会社一丸での危機対策が柔軟・スピーディーにできたり、価格を超えた関係性をお客さんとの間に作ってきた企業・店舗は総じて売上アップ〜維持。売上減を最小限に抑えられたなどの結果につながっています。
一方で価格訴求型の店舗や企業は苦戦している。
集客を伸ばせない。価格以外で訴求ができない(いつも安くをしていると利益が取れない、安いイメージがついていて安売り効果が発揮できなかった)など新型コロナウイルスの影響を大きく受けた形です。
その他に、コロナウイルスの影響が比較的軽微だった企業・店舗の特徴として注目しているのことは、
日々の掃除や整理整頓ができていた。
この点を考えています。
はっきり言えば。いつも清掃が行き届き、整理整頓ができている店舗は良く。
逆に日々の清掃が不足していたり、整理整頓ができていない店舗は悪かった。
これは同一企業内の店舗でも差がついています。
新型コロナウイルスの影響が出てきた3月頭にクライアントへの発信や、ブログ記事(3月3日洋菓子店の新型コロナ対策はどうするか?不満をいっても始まらない)でお伝えしていましたが、
・掃除や整理整頓を徹底すること
・接客時の挨拶や返事の明瞭にすること
・いつも以上に商品づくりの精度を高めること
この3つを徹底は売上を大きく左右した要因として感じている点です。
世の中が不安で暗くなっている今、目に見えないウイルスへの不安。そんな気持ちで来店される方が安心して入店し、お買い物できるように。
いつも行なっている基本的なことを。
目の前の小さなことをどれだけ徹底できたか。
掃除という切り口で小さなところまで気持ちを行き届かせることができるか。
小さなことをどれだけ積み重ねることができるか。
これが厳しい時代を生き残ることや、会社の価値や評価を高めることにつながった結果です。
7.対策は次のステップへ。今のうちに準備しておくこと、これからでも間に合うことはたくさんある
新型コロナウイルスは今、一旦感染が落ち着いた状況。
今後の第2波、第3波への対策。
実体経済としての景気悪化など。
今のうちに準備しておくことがたくさんあると思います。
今からでも間に合うことがたくさんあると思います。
ウィズコロナ、そしてアフターコロナに向けての準備と対策。
コロナ対策は次のステップに入りました。
この先の未来をどのように想像し、どのように準備していくか。
従業員はもちろん、お客様、地域の方も見ております。
何度もお伝えしていますが、新型コロナウイルスの影響が収束に向かったとき、
売上や集客がコロナ以前に戻る保証はどこにもありません。
今、これからの取り組みが必ず活きる。
次は未来を見据え、従業員の方々と一丸で前に向かって進めるように。
今後の対策も含め、下記の記事もぜひお読みください。
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