経営のこと

社長が頑張っても、組織が変わらない理由|中小企業が指示待ち体質になる本当の理由

「自分はこれだけやっているのに、なぜ変わらない?」
「いつまでたっても、指示待ち体質から脱却できない」
そう思うことはありませんか?

社長が誰よりも働き、従業員のことも大事にした会社の取り組みも考えている。
新しいことを学び、会議でも方向性を示している。

それでも、会社が変わらない。いつまでも指示待ち体質。
会議で決めたことは、いつの間にか立ち消え。
社長の焦りや不安が、現場の意識改革や行動につながらない。
→危機感が現場に伝わらない背景については、こちらの記事でも詳しく書いています。

私自身も、昔、同じような壁にぶつかったことがあります。
当時は経営者ではなく、管理職・プロジェクトリーダーとして部下を束ねる立場。
すぐに答えを伝え、できないメンバーから仕事を取り上げ、自分がやってしまう。
締め切り迫る忙しさの中で、自分がやった方が圧倒的に早い。
クライアントの満足度も高い。
ですが、最後に残ったのは、指示や答えを求める部下たち。
自分が忙しくなるだけの現実でした。

「伝えていることや、指示が間違っている?」
「自分のことが、信頼されていない?」
「若いから経営者として認められていない?」
そんな悩みを打ち明けられることは少なくありません。
中小企業にとって厳しい時代。経営者が率先して先頭に立ち、会社を引っ張っていこうとしている経営者ほど、同じ悩みにぶつかっています。

社長が頑張っているだけでは、
中小企業の組織は変わらない。

問題は、どこにあるのか?
今回は、このテーマでお伝えします。

1.なぜ、中小企業では社長が頑張るほど組織が変わらないのか

実を言うと。中小企業の経営者はとても優秀です。
「結局、何をやっても社長が一番よくできる」
これは本当によくある話。

例えば、中小の菓子企業の場合。
・誰よりも、お菓子を上手に、早く作る技術と経験を持っている
・誰よりも、商品開発ができる
・誰よりも、アイデアが出てきて、完成度も高い
・誰よりも、現場の数字に強い
・誰よりも、営業が上手
・誰よりも、新しい情報を仕入れてくる感度が高い
こういった社長が中小企業の経営者です。
創業時、まだ会社が小さい時には、強いリーダーシップでガンガンと会社を大きく成長させていきます。

ところが、会社が従業員15名を超え、組織という発想が生まれてくるあたりで、
「組織が思い通りに動かない」というプレイヤー型社長の壁にぶち当たります。

理由はとてもシンプル。
社長が優秀で、なんでもできるから。
「なんでも社長の言ったことが正解」
「どんな意見やアイデアでも、社長がNOと言えば終わり」
「結局は社長の思い通りにしかやれない」
さらには、
「社長の基準や発想レベルが高すぎて、自分たちが何を言っても、正解に届かない」
という諦めや、社長が全てという雰囲気が現場に溢れてしまうからです。

 

2.優秀な社長の焦りが、組織改革を止めている

色々な会社や経営者・後継者を見てきて、社長が焦る時は2つ。
・経営が厳しく、世の中も大きく変わっている中で、会社も変わっていかなければという焦り
・自分が社内で認められるために、早く成果を出したいという焦り
そこから、組織や会社を「早く変えたい」という気持ちが強く出てきます。

実は。この焦りが「組織を変えられない」原因。
・焦っているから、現場の今を考えずに、どんどん新しい発案を指示してしまう
・焦っているから、判断を早くしようとしてし、現場の理解が追いつかなくなる
・焦っているから、現場が変わるまでの時間を我慢できない
・焦っているから、現場のやることが増えて、やらないことを削っていない
・焦っているから、時間ばかりが気になる。

「本田さん、現場が変わるのを待っていたら、会社が潰れてしまう」
そう言われる経営者の方も少なくありません。

 

3.社長の焦りは正しい。問題は役割。

中小企業経営は厳しく、世の中が大きく変わっている中で、社長の焦りはよくわかります。
そのために社長が頑張る。それは間違いありません。

ですが、社長の焦りの時間軸をそのまま、指示に反映すると現場は動きません。
できるだけ早く行動に移そうとして、
・自分で考え、決めてしまう
・説明や理解を簡略化して、現場に行動だけを求めてしまう
・今やっていることの整理をしないで、新しいことを増やしてしまう

「組織が変わるのを待っていたら、会社の将来は危ない」
確かにそうなんです。

ただ、組織を動かしたり、変えたりするときに大事なのは。
社長が組織をどんどん引っ張ったり、後ろからぐいぐい押すことではないんです。

組織や現場が変われるきっかけをつくること。
・「変わらないとダメなんだ」という気持ちにさせる、伝え方に変える
・足し算と引き算の発想で、現場の「やること」と「やらないこと」をセットで行い、現場でできる感を作る
・いきなり100点ではなく、30点・50点で良いから、動いたこと・変化したことを認める。

組織が変わるというのは、社長が決断さえすれば、あとは現場が考え、改善しながら進んでいる状況。
その時の社長の役割は「指示するプレイヤー」ではなく、「現場を整える人」になることです。

 

4.社長が役割の役割を変えない限り、組織は変わらない

社長が頑張っているのに、組織が変わらない理由。
それは、社長が
「社内で一番できる人」であり続けているからです。

現場は
「どうせ最後は社長の好きなように決める」
「どうせ、社長の方が上手い」
という空気の中で、自ら考えることをやめて、社長に依存してしまう。

そうした焦りがあるから社長は、
「自分がやった方が早い」とさらに前に出てしまう。
この繰り返しです。

組織が変わるとき、
社長は「正解を出す人」ではなく、
現場が考えられる余白をつくる人。
失敗をサポートする人。
方向を決断し、整える人。

それができた時、
社長は未来に向けて、頑張るところが変わってきます。

中小企業の組織改革は、「社長の能力の問題」ではありません。
むしろ、優秀すぎるからこそ起きる構造的な問題。
「努力する量」を増やしてと言うことではなく、
「組織マネジメントの設計」を見直すことが大事です。

 

まとめ

よく伴走支援をしている会社で、
「社長の俺がいつも言っても全然聞かないのに。本田さんから言ってもらったら従業員がすぐに動いて・・・(苦笑)」

私は、特別なことを伝えているつもりはありません。
社長が考えていることや焦りを少し整え、現場の不安や負荷に感じる点を踏まえながら、「動きやすいよう」に伝えているだけです。

組織を変えるのに時間をかけることはありません。
社長が大きく変える努力をするのではなく、
ほんの少し、整理し、頑張る方向性を変えるだけで、組織は変わり始めます。

 

=著者プロフィール=
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、
従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、
価格戦略の見直しから組織実行までを伴走し、地方の中小企業 約250社以上の利益改善を支援。
「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、
「経営者の考えを整え、現場に通す」パートナーとして現場実行までを支える支援を行なっている。

 

「このままで良いのか」と悩む方へ。

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