会社が止まる。改善が進まない本当の理由。中小企業の組織改善セルフチェックリスト
「なんとかしないといけないのに、何も進まない。形にならない」
「従業員がどんどん反応しなくなっている」
「社内の空気が冷えている」
「誰でもわかる、小さなミスやトラブルが自分にあがってこない」
経営者はこれからのことを考え、危機感があって、自分なりに必死に動いているのに、社内には改善したり、好転させようとする気配が感じられない。どこか他人事の意識を強く感じて、さらに焦りと苛立ち、「なんで、こんな会社になったのだろう」と悲しみが募っていく。
現場から上がってくる声は
「日々の仕事が忙しくて、人も足りない」とできない理由ばかり。
「それ、誰がやるんですか?」と他人事のよう。
「へぇ、そうなんですね・・・」といった薄い反応
中小企業の経営はずっと厳しい状態。原価や経費が上がり、次から次へと厳しい経営環境が目の前にくる。会社の売上も利益も苦しくなってきている。現場には社長と同じ感覚になってとは言わないけど、「もう少し会社のことを考えてほしい」。そう感じる経営者は増えています。
改善計画があっても進まない。方針が具体策を示してもやる気が見えない。全く反応しない。組織や人材が停滞している。これには、必ず原因があります。まずはあなたの会社の何が原因なのか。自社の現状を客観的に把握することから始めましょう。
目次
1.【セルフ診断】あなたの会社の組織が止まる原因チェックリスト
以下の項目で、当てはまるものにチェックしてください。
A:視点が詰まっている(未来が見えない・共有されない)
- 【 】会議や経営方針発表会で半年後、1年後、3年後、5年後、将来の話をしても、従業員の表情が無反応で死んでいる。
- 【 】朝礼で経営理念やビジョンを唱和しているが、何も考えずにただ声を出しているだけで、内容を説明できたり、行動に移している社員がいない。
- 【 】ここ1ヶ月くらい。現場から「もっとこうしたい」といった改善案やアイデアや意見が出てこない。
- 【 】近くに競合店ができたのに、誰も見に行っていない。社内で話している会話の中に自分たちの業界の話がない。
- 【 】売上や客数、クレームやトラブルに対して鈍感になっていて、厳しさを感じない。会議でも報告されているだけになっている。
- 【 】明らかに新しい取り組みや改善策を「やりたくない」という声や発言が、ふつうに出てくる。
ある食品製造会社の事例:
私が支援を始めたばかりの食品製造会社で、経営方針発表会に参加したときのこと。
会社の役員や従業員だけではなく、金融機関の支店長や顧問会計事務所、取引先の方なども参加していました。その中で社長は将来の構想を話していました。
今、自分たちの業界は厳しくなり、先行きも不透明なこと。それらに対して、うちの会社はこういう方針で未来を作り、その中には従業員の待遇についてもこうしたいとの思いも入っています。ところがです。従業員の表情は能面のように、反応も無反応。対外的な場でもあるにもかかわらずです。ビジョンを共有し、会社一丸の気持ちを高める場で、ただ「冷え切った空気」だけが残る。これが「視点の課題(詰まり)」の怖さです。
B:責任が詰まっている(役割が曖昧・依存している)
- 【 】トラブルや問題が起きると、すぐに「誰かのせい」や「世の中のせい」にしようとする。自分ごととして思わない従業員が増えている。
- 【 】「それは自分の仕事ですか?」「聞いてない、教えてもらっていない」という言葉が平気で出てくる。
- 【 】なんでもかんでも、社長に聞きにきたり頼ろうとする。自分で判断しない。聞きにくる時も「どうしましょうか?」と自分の意見がない。
- 【 】幹部やリーダーが自分の仕事をしていない。結局は社長が全部仕切らないと、イベント企画の一つも進まない。
なんでもかんでも社長の判断を仰ぐケースや、幹部やリーダーが自分の仕事をしないのは、実は社内で「役割や責任」が曖昧だからです。社長が役職者や現場に求める役割だけではなく、幹部や現場が社長に求める役割が見えていない場合も少なくありません。「お互いに責任をなすりつけあっている」という状態に、経営者自身が気づいていないケースも少なくありません。
C:安心が詰まっている(本音が言えない・失敗を恐れて何もしない)
- 【 】会議で「どう思う?意見を聞かせて」と聞いても、発言する人はいつも決まっているか、誰も下を向いて資料ばかりを見て発言しない。
- 【 】新しいイベント企画や取り組みをしようとすると反対意見が多い。「できない理由」や「自分は関わりたくないことを匂わせるような」発言ばかりが出てきて、「やれるようにどうしたら良いか」を考えた意見が出てこない。
- 【 】社内の小さなミスやトラブルが、社長に報告されないで、社外の噂で初めて知ることがある。
- 【 】社員同士の会話が、仕事の事務連絡だけになっていて、楽しそうな雑談や、前向きな話がない。
- 【 】入社3年くらいで、ようやく成長してきたと思った社員が、よくわからない理由で辞めていく。
ある菓子製造販売会社の事例:
ある菓子製造販売会社では、新商品の商品製造をした際に個包装の中で、商品のクリームがはみ出て、パッケージの内側についてしまう・・・小さな商品設計の不具合がありました。袋を開けてみれば、すぐにわかることです。
ところが、この商品の課題は、製造現場からも、販売現場からも社長へ挙がってくることはありませんでした。結局、社長がそれを知ったのは、商品を実際に食べた経営者仲間から指摘でした。
「この商品、中身がベチャベチャだけど大丈夫か?」
これが「安心という課題(詰まり)」の組織の末路です。現場には「社長に意見しても、どうせ怒られるか現場の責任にされるという不安や恐怖感」 「何をいっても現場の仕事が増えるだけで無駄だという無関心」、結果として、「クリームがはみ出ている」という、目に見える単純な事実すら滞るという事象につながったのです。
そんな組織で、高いビジョンや改善提案が踏まれることは難しい。
この「沈黙・無関心」こそが、組織を内部から止めてしまう原因です。
2.診断結果を解説。どこから手をつけますか?
チェックリストの数よりも、どのカテゴリーに集中しているかが大事です。
Aが多い場合:社長と現場の見ている視点「目標や目的」が曖昧になっていって、どれほど社長が危機感を高めて、現場に向かって声がけをしたり、新しい取り組みを指示したとしても、組織が動かなかったり、取り組みが途中で止まっていまいます。まずは社長と現場の「見ている視点」の違いを認識し、揃えること言葉と行動が必要です。
Bが多い場合:「役割と責任」が機能していない状態です。社長一人で抱え込んでいる、現場に正しい権限が渡っていない状態。社長と現場の役割と責任を整え、共有することが必要です。
Cが多い場合:社内が「恐怖・不安・無関心」になっていることが原因。どんな良い改善策や施策でも、失敗しすることの不安やリスク感ばかりが強くなり、行動に移すことを否定する傾向が強くなります。逆に今の状態を変えないという「何もしない安心感」が強くなる、最も危険な状態です。
3.焦る経営者が陥る「誤解」と改善すべき「ボトルネック」はどこにあるか?
多くの中小企業で、組織を見てきた私からすると、これらの課題が出てきた時に一番の悪手となるのは、「チェックした項目(課題)を、一つずつ直そう」と部分対処をすることです。
また、これらは社長の力不足ということでもないし、社員や現場の意識や能力の問題でもありません。
組織として「仕組みがマイナスに連鎖」していることが問題なのです。
前回お伝えした、「ある菓子製造販売会社」の事例を思い出してください。
あの時の社長の悩みは、まさにチェックリストB(責任)でした。
「現場に主体性がない」「会社の利益が出ない、改善が進まない原因は現場」・・・社長は良かれと思って改善の専門家を手配し、「現場に責任を持って改善を」と促しました。
しかし、現場は全く動かない。なぜなら現場には、別の詰まり(課題)があったから。
現場の本音は、「一番大変な価格交渉(社長の責任)から逃げて、現場にだけ効率化する責任を押し付ける」ことへの不満と憤り。これは責任の問題ではなく、不信感=安心の欠如だったのです。
社長が「現場の責任」を正そうとしても動かなかったのは、その土台となる「社長への信頼と安心」が崩れていたから。
その後、社長が自ら矢面に立ち、長年の取引先と「価格改定」という最も難しい交渉をやり抜いたことで、現場が求める社長の責任を果たしたことで、その姿を見た現場が「社長の本気が知れた。今後は自分たちも動かなければ」と止まっていた、現場改善に主体的に取り組み始めました。
①社長自らの「責任」を果たす
②それによって現場に「本気度」が伝わり「安心(信頼)」が生まれる
③結果として、現場が自発的に「責任」を持って動き出す。
このように、どこか課題として詰まっているかは、「目に見えている場所」を叩いても治りません。どこに連鎖している本当に原因があるか(ボトルネック)を見極め、そこから解していく必要があるのです。
なぜ、良かれと思った改善が裏目に出るのか。その『負の連鎖』の詳しいメカニズムはこちらの記事をご覧ください
4.まとめ
診断結果を見て、うちの会社は「どこから手をつけたらいいのかわからない」「自分がとらえている課題が本当の原因なのか不安がある」と感じたのであれば、まさに組織が次の段階へ進む合図です。
今、起きているのは小さいことかも知れません。
ですが、小さい停滞を放っておけば、将来的に何もできなくなる組織になってしまいます。
私のもとに相談に来られる経営者の方々も、「このままだといけない」という強い不安を感じています。
次回は、なぜ自分たち(内部)だけで、こういった課題や詰まりをとるのが難しいか、その理由をお伝えします。
「今回の診断結果で気になる点があれば、お気軽にコメントやメッセージ、お問い合わせで教えてください」
経営者は孤独です。
自分が経営者になってみて、改めて実感しています。
そして、正解のない判断を一人で抱え続けています。
そういう気持ちをわかるコンサルタント。
もし、
「誰かに話を聞いてほしい」
「気持ちをわかってほしい」
そういう方の相談。私でよければ伺います。
経営者の判断に寄り添う相談を大切にしています。
【著者プロフィール】
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、価格戦略の見直しを切り口としながら、「経営者の決断を整え、組織実行までを支える伴走支援」を行なっている。これまでに地方にある中小企業250社以上の動ける組織づくりと利益3倍化を支援を行う。
「どこが詰まっているかわからない」
そんな場合は、一度外から整理することで、
改善の優先順位が明確になります。
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無料オンライン相談では、ご相談者様からの要望がない限り、当方から営業活動は一切行いません。





























