今回の記事は2022年(令和4年度)のクリスマスケーキについてまとめています。
昨年末より、原材料や包材、水光熱費をはじめとしたコストの上昇があり、2022年のクリスマスケーキも値上げをしないといけないと考えている方からの相談やスポットのコンサルティング依頼も増えています。
多くの経営者やオーナーは、様々な工夫でなんとか価格を抑えてお客さまにクリスマスケーキをお届けしたいと思っていらっしゃいますが、会社やお店の努力も限界。会社も従業員も守っていくことを考え、苦渋の値上げになりそうです。
とはいえ去年と同じような商品構成で値上げをすると、やはりお客さまの目線が気になったり、大手チェーン菓子店やコンビニ・スーパーとの価格比較という悩みも増えてきています。
それでも中小企業は値上げが必要。「でも価格を上げただけでいいの?」「本当にそれだけでは足りないのでは?」と考えているケーキ屋さん・洋菓子店のオーナー、商品開発担当の方へ、どのようなクリスマスケーキ戦略にしていくかを今回の記事でお伝えしています。
目次
1.クリスマスケーキの値上げはほぼ必須。値上げ率は20%〜30%を想定。
多くの企業が梅雨頃から、夏頃からクリスマスケーキの企画や準備を始めていますが、考慮しなくてはいけないもの。それが今年2022年の秋、さらに仕入れ価格の上昇が想定されている小麦。世界的な小麦の生産国である、ロシアとウクライナの影響は今年の秋に表面化するからです。(仮に日本政府の支援介入があったとしても、昨年と同じような仕入れ価格になることはほぼ難しいと思います)
それ以外にも円安や原油価格の高騰を要因とした、原材料や包材のコスト上昇、クリスマスケーキに不可欠なイチゴなどのフルーツも同様に上昇すること(生産コスト増による仕入れ値アップ)を見越して、商品構成や価格の見直しをしていくことが必要です。
おそらく、今年のクリスマスケーキは昨年の価格から20%〜30%近い値上げをしなければ利益確保が難しい状況になっていると考えています。
生デコなど今までのスタンダードなクリスマスケーキで、昨年の価格が1号あたり単価が1,000〜1,200円前後(4号で売価4,000円前後)であれば、2割から3割増(1,200円〜1,500円)で設定する必要があります。
仮に去年と同じ価格であれば、ほぼ利益は出ない。最悪売上はあっても利益はマイナスということになるかもしれません。去年と同じような商品構成だとするとお客さまの目線も厳しくなることも想定されます。
全体的に値上げせざるを得ない状況で、どのような商品構成に強化していくことが必要か、次の項目から説明していきます。
2.高単価クリスマスケーキを投入
今まであなたのお店が用意していなかった、高単価のクリスマスケーキの投入です。売価で言えば5号サイズ程度で10,000〜12,000円。既にこの価格帯で同型商品が展開されているのであれば、その上を作ります。プレミアムラインと呼ばれるクリスマスケーキ群です。
1号あたりの値段は2,000円〜2,500円ラインです。
「そんなに高いの売れないよ!」と言われる方もいらっしゃるのですが、実際に導入して頂いた菓子店での実績を見ると、意外と売れた結果も出ています。
もちろん当日の店売りとして在庫しておくのは大きなリスクや不安を伴いますから“予約限定”で構いません。さらに言えば、20,000円、30,000円、50,000円ラインの“予約限定クリスマスケーキ”も視野に入ってきます。
これら高単価クリスマスケーキの役割は、全体的に値上げした定番クリスマスケーキの“値上げ感を軽減する”役割です。お客様の目線に高単価クリスマスケーキが入ることで、他クリスマスケーキの値頃感を訴求することができます。
加えて大きなメリットは、高単価クリスマスケーキの話題性です。大手菓子店が安いクリスマスケーキを展開する一方で、地域内で最も値段の高い付加価値型クリスマスケーキを展開することができれば、自社の技術力をアピールできるとともに、話題性・認知度を高めることができます。
もしも、毎年クリスマスケーキを買ってくれるお客さまの10%が、プレミアムラインの高単価クリスマスケーキを買ってくれるとしたら、同じ製造台数であっても売上・利益を高めることにもつながります。
3.お二人様用クリスマスケーキの投入
今年のクリスマスケーキでもう一つチャレンジして欲しいのは、お二人様用のクリスマスケーキ。商品としては3号サイズで4,000円〜5,000円程度です。
若いカップルやまだ子供のいない夫婦、年配のご夫婦など。家族が少なかったり、いっぱいは食べないけど、せっかくのクリスマスだから良いものを食べたいと考えるお客様へのクリスマスケーキです。
定番のクリスマスケーキと比較すると少し小さくて割高だけど、贅沢感があって、見た目も華やか(映える)。
お店側としては、今までは「3号サイズなんて手間の割に単価が取れない」と敬遠されてきたこともあるかもしれませんが、これだけ全体的なコストが上がり、値上げの必要性が出てきている今、これらの小サイズ・割高商品の展開も視野に入れていく必要があります。
日本全体に人口減少、核家族化、小家族化、高齢者世帯の増加などで、大きなクリスマスケーキが売れなくなり、小さいサイズへ移行している世の中の動向を考慮しても、高付加価値型のお二人様用クリスマスケーキにチャレンジしておくことは今後のプラスにもなります。(平時のバースデーケーキにもプラス効果になりますね)
これらも“予約限定”や“数量限定”で対応していくで問題ありません。
4.主力商品・主力素材を活かしたクリスマスケーキの投入
値上げに耐えられるクリスマスケーキ、その一角が主力商品や主力素材を活かしたクリスマスケーキです。
なぜなら。
主力商品や主力素材は“あなたの会社でお客様が一番支持され、評価されている”から。
主力商品をアレンジしたり、主力となる素材をふんだんに活用したクリスマスケーキの展開も検討してみてください。評価されているだけにお客様への安心感や、高い値段にも耐えうる商品をつくることができます。
お店にとっては主力商品のさらなるアピールにもつながりますし、お客さまにとっては馴染みのある商品のクリスマススペシャルとして、安心して購入してもらえるクリスマスケーキになります。熱烈な主力商品のファンの方であれば、「いつもクリスマスケーキは買わないけど、この主力商品のスペシャル版なら買う」といった新たなニーズの掘り起こしにもつながります。
価格としては、主力商品の価格+30%程度で検討してみてください。
4.クリスマスケーキの値上げと同時に、販売部門や店舗での予約獲得力を高める
原材料や人件費の上昇を踏まえれば、よほどの大企業でない限り、クリスマスケーキの価格をあげる、それらに伴って高付加価値型のクリスマスケーキを投入する新しい商品構成にすることは必要になってきます。
会社やお店としては、当然高単価商品のロスや売れ残りもリスクとして考えると思いますので、“予約限定”や“数量限定”を商品ごとに設定することで、リスク対策をとることをオススメしています。
加えて、新しいクリスマスケーキ戦略に必要なのは販売や店舗における“予約獲得力”の向上です。
当日の店売りを重視するのではなく。売場では事前予約を意識して、予約注文で売上を作っていく。できればクリスマスケーキの売上の8割を予約で埋めるくらいの目標を設定してください。
販売現場としては、
・商品説明やセールス力の強化→予約への誘導
・早いうちからのクリスマスケーキ訴求(予約限定や数量限定などの訴求)
・秋時期の店舗リアル催事の中に、クリスマスケーキ事前告知や早期予約の企画を盛り込む
などの取り組みを強化し、販売スタッフも予約注文への意識を高めてもらう必要があります。
また、予約獲得力を高めることは製造現場や経営にも大きなプラスになります。
一番のプラスは製造個数が読めること。無駄に作りすぎて商品ロスになったり(商品ロスが従業員へのクリスマスプレゼントという場合もありますが・・・)、逆に製造個数が少なくて販売チャンスロスを軽減することにつながるので、会社全体の生産性は上昇します。
特に作りすぎによる商品ロスは、原材料のロスになるばかりではなく、無駄な人件費や労働時間を生み出すこと、保管コストなど、様々な無駄にもつながります。クリスマスという大きな需要期であるにも関わらず、求める利益を獲得できないことや、従業員やスタッフのやりがいを失うことにもつながりますので、積極的な“予約獲得”を目指して欲しいと考えています。
今年のクリスマスは新しいチャレンジの年に!
いかがでしょうか。
2022年のクリスマスは、ケーキ屋さん・洋菓子店にとって大きな分岐点であり、新しいチャレンジの場にもなると考えています。
どうしても半年後の企画になりますので今の状況で考えがちですが、経営としてはさらに先を想定しておきたいもの。去年と同じように考えるのではなく、あらためて原価計算を行い、今後の原材料や包材の上昇も見据えながら、クリスマス戦略を検討してもらえれば良いなと思います。
人口が減っていく日本で、クリスマスケーキの数を増やしていくことは相当に大変なことです。まずは今までの製造個数、もしくは少ない製造個数でも売上・利益を獲得できる方向性を考えることも重要です。
今年のクリスマスが良い結果になりますよう。
より良い方向を考え、チャレンジをしていきましょう。
お客様も地域も、そういったチャレンジを必ず評価してくれます。
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