【倒産閉店?永続?】老舗洋菓子店らしい世界観創りで経営相談
2019年年以降。洋菓子店の倒産件数は連続して過去最高を記録。その流れは2025年も続いています(洋菓子店の倒産動向2025年度 帝国データバンクより)
「今日はあそこのケーキよ!」と言われれば気持ちが湧き上がるほど。地域の人にとって憧れの存在だったケーキ屋さん。
同業からも「ああなりたい」と憧れを持たれていた洋菓子店も、時が進み「老舗」と呼ばれるようになった。
そして迎えている老舗洋菓子店の倒産や廃業。過去の憧れはどこかへ。そんなニュースが出てきています。
- オーナーは年をとった。跡取りがいない。あと5年・10年なんとなく閉店する時期が見えてきた。
- 原材料や人件費の高騰、人が集まらない。
- コンビニの台頭、大手チェーン店の出店
- 時代の変化するスピードは早くて、追いついていけない
- 若いオーナーのお店がまわりに出てきた。
- なんとなく自信がなくなってきた。
古くからそのお店を愛し、私たちの街には「こんな洋菓子店があるのよ」と地域の人の誇りにもなっていた洋菓子店。こういった老舗洋菓子店や老舗菓子店の経営改善を、該当企業からだけではなく、自治体・商工会議所・銀行などの金融機関から依頼されるケースが増えています。相談では地域の顔と言える老舗を潰したくないと言われることがほとんど。
菓子屋の息子として生まれた私にとっては、老舗と呼ばれる菓子店の衰退は見ていて悲しいもの。実際に訪問してお話を聞いていくと、その会社ごとに課題や衰退の理由はありますが、なんとかしたいと思う気持ちが強くなります。
老舗洋菓子店が老舗らしく経営改善をしていく。その存在を持ち続けるために。
今回のテーマは【実録】衰退する老舗洋菓子店の悲しい現実。これは実際に起きていること。そして生き残りの術についてです。
目次
1.あなたのお店は大丈夫?要チェック!【実録】衰退する老舗菓子店が直面している現実を変えよう!
ここ数年増えている洋菓子店さん、老舗菓子店さんからの依頼や相談。
その中でも創業から20年・30年。あるいは2代、3代と地域の中でも歴史を重ね老舗と呼ばれる洋菓子店が衰退している時、現れている悲しい現実。売上が上がらない。利益が出ない。競合と比較して明らかに遅れている。昔のような独自性を地域やお客さんが感じてくれていない。
自分の代、一代限りであれば気にならなかったが、息子や娘が後継者として帰ってきてくれたので、なんとか良い形で譲ってあげたい 等々。
では、どういうところに老舗洋菓子店が衰退するポイントがあるか。
これは実際に相談を受けた老舗洋菓子店のことですが、この洋菓子店に限らず、経営が苦しくなっている老舗菓子店、食品製造業、酒造、伝統食品、旅館、など、色々な老舗企業に共通する事実でもあります。
まずはご自身の会社やお店を振り返りながら、読んでみてください。
(1)商品は美味しいが“あら”が見える
使っている原材料は良いもの、歴史の中で培ってきた製法や技術もあり、商品はとても美味しい。商品の品質には自信がある。
でも、店頭に並ぶ商品には“あら”が見える。
洋菓子店であれば。ケーキの仕上げやカットの仕方、ロールの巻き方、焼き菓子のサンド。商品ひとつひとつやギフトの包装やシールの貼り方。ちょっととしたところが雑(=あらが見える)。
冷蔵ケースの中に並べている、ケーキの陳列が乱れている。ケーキの向きがバラバラ。
以前はもっと整っていたのかもしれません。繁盛していた時は、商品がたくさん並び、常に補充しているような状態だったので気づかなかったのかもしれない。長年続けてきた中で少しずつ劣化していることに気づいていない場合もあります。客数が落ちたから、店頭在庫が少なくなったから目立つようになったのかもしれない。
そんな、“あら”にお客さんは気づいている。でもオーナーや従業員は気づいていないというケースは少なくありません。
周囲の同業や若いオーナーのお店はちゃんとできている。だから余計に気になる。
美味しさでは負けないと思っていても、ちょっとしたところでマイナスが生まれている。
「あそこのケーキは昔から美味しいのに・・・最近なんかね・・・」とお客さんに思われていないかチェックが必要です。
(2)歴史ではなく、古臭さを感じる店
時を重ね、店舗や施設が老朽化していくことはしょうがないこと。
ですが、それとは別の視点で店舗や売り場、商品に古臭さを感じてしまう。
例えば、掃除や整理整頓。
ガラス面や壁のテープの貼り痕。入口のマット。入口に古いシール(クレジットカードや●●の店など)が破れていても貼った状態。
色褪せたり、角が曲がったり折れたりしたプライスカードやPOP、使い古したディスプレイ用素材、使わなくなったテーブルや椅子。そこらへんに置きっ放しが気にならないダンボール、包材・資材。
汚れてシワシワになった従業員さんの制服、汚くなったコックコートや前掛けをつけた工場スタッフ、ヨレヨレになったオーナー自身の服装。
お店の外を見れば、駐車場にゴミが落ちていても放置。ガーデニングは手入れが行き届いておらず、古くなった看板や掃除用のホースが乱雑に放置されたところが見える。
あげればキリがありません。
ですが自分たちはそのことが日常すぎて、気になってもいない。
そこにお客さんの失望やがっかりが生まれ、ブランドは以前の輝きを失っていきます。
そももそ。
お菓子屋さんは、晴れやかな気分になれる場所。
そこに、歴史を感じさせることができる「老舗だからこそできる強み」が組み合わさってお店の魅力が生まれます。
建物や店内のリニューアルをと考えてしまえば、もちろんお金のかかることもあるでしょう。ですがお金をかけずとも改善できることがたくさんあります。
リニューアルではなく、自分たちの意識や周辺をプチリニューアルする。それだけでもお客さんの気持ちは違います。
(3)時代を作っているのではなく、時代に引きづられている
なんとなく世の中で流行っているから。他のお店もやり始めたので、少し様子を見てから始めた。
(相談を受けて、実際に会社やお店に訪問してみると、このケースはかなりの確率で多いです)
うちは老舗だから、あえて若い人たちのお店がやることはしない。
色々な考え方があります。
ですが、時代にひきずられているという点ではどれも同じ。
商品やサービスだけではなく、経営や値上げなどの取り組みについても見直しが必要です。
結局は自分から何も始めていないことが、衰退する老舗洋菓子店の悲しい現実。
今、流行っていることや、最先端を追いかけるということではありません。
自分なりに、あなたのお店なりに何を高めていくか。育てていくかを決めて取り組む。
今ある商品のさらなる磨き込み。
他の洋菓子店には絶対マネのできない歴史と格。
働いている人のプライド。
新しさを打ち出す洋菓子店が多いからこそ、
老舗だからこそできる「磨き込み」「地域の中で、四季や歳時期をお菓子で表現し続けてきたブランド」という独自の価値を高めること。
それが歴史を活かすということです。
2.今一度、輝きを!老舗洋菓子店らしい世界観を作る!
新しさを打ち出す洋菓子店が多い中で、老舗と言われる洋菓子店の最大の強みは歴史。
今まで培ってきた根底にあるブランド力の強さと信頼感。
これら老舗洋菓子店を強みを生かして経営改善し、どのように輝いていくか。
老舗洋菓子店のオーナーや経営者にお伝えしていることは。
今の時代のセンスの変化にとらわれるのではなく、自分が作り上げてきた技術やセンスを昇華させること。
特にデザインなどは様々な価値観が生まれている今、これが古いということはありません。
大事なのは自分の今までやってきたことをさらに磨き込むこと。
あなたのお店らしい“老舗としての世界観”を創り上げること。
ここに力を集中させることです。
例えば、ケーキ作り一つをとってみれば、
- シンプルなケーキを作ってきたのであれば「シンプルの精度を高める」 より縦横に美しく。直線を綺麗に。カーブや曲線を均一化させる。
- フルーツで華やかなケーキを作ってきたのであれば、「華やかの精度を高める」 フルーツのカットや仕上げ、彩り、季節変化性を高めていく。
- 主力商品があるのであれば、「主力商品のさらなるレベルアップを行う」 当たり前・定番の商品で最高品質を目指す。
あなたのお店が今までに続けてきたからこそできる磨き込みが必ずあります。
店づくりであれば、
新しい店にはできない歴史の流れと品格を感じさせる。
形は古いがいつも整理整頓・掃除されている。プライスカードを整える。いつも洗濯されアイロンがけされている綺麗な制服を着こなしている。ディプレイに使用する素材は自然のものだけ、プラスチックなどはできる限り使わない。
新興洋菓子店には絶対マネのできない「時間の経過」を強みに変える。
ちょっとした磨き込みを徹底することで歴史や格を感じさせることはできます。
そこに他の洋菓子店との差別化が生まれ、あなたのお店だけが持つことのできる価値が生まれます。
3.あと⚪︎年が作り出す不幸。これまでの、あなたの頑張りを“マイナス”にしたいのか?
体力も落ちてきたし、うちには後継者がいないから後10年くらいやったら店を閉めようか。
なかなか代を重ねることが難しい洋菓子店だからこそ、自分なりのゴールを決めようと思うことがあるかもしれません。
ですが、残りの10年をどうしていくか。
この10年で、あなたの今までの“人生”や“頑張り”が報われるのか。あるいはマイナスとなり不幸の入り口になるのかを考えて欲しいです。
なんとなく惰性で走り、ソフトランディングを目指す10年。
それは衰退を続け、あなたが何十年と築き上げたブランドを落とし続ける10年。これはあなたにとっても、働くスタッフにとっても、お客さんにとっても不幸の始まりです。
仮に閉店する時期が見えたとはいえ、せめて地域の中で“ここに我あり”と、あなたのお店があった記憶を残す。
地域を牽引してきた存在。老舗らしい生き様。10年後。地域に人に惜しまれ、あそこで働いていたとスタッフが誇りを持てる。
老舗洋菓子店として輝きをましていく姿に、後を継ぎたい人が現れるかもしれない。
残り10年はあなたのお店が最高に輝く時代にする。しかもそこには他が絶対に真似できない価値がある。
あなたの長年の“頑張り”が最高点を迎えるようにする。
これからの10年間を真剣に考える価値があると私は思います。
4.後継者への代変わりタイミングは大きなチャンス!
これは弊社のクライアントさんで多い傾向。
創業者が息子や娘、後継者に経営を譲ろうと考える時、コンサルティングの相談や依頼を受けるケースが多くあります。
「自分が創業して、自分の代で終わるのであればコンサルタントは頼まなかった。でも息子(娘)が戻ってきてくれて、会社を継いでくれるようになったので、ちゃんと利益のでる基盤を作って譲ってあげたい。それが私の最後の仕事」
創業者として自分だけの問題であれば、どうでも良い。
でも後継者ができ、さらに家族が増えたら、今の会社や事業でちゃんと利益が出て、人並み以上に生活できる収入を得られるように。
と言われる方はとても多いです。
オーナーシェフ型の経営形態が多い、洋菓子店の特徴かもしれません。
その気持ちはよくわかります。
そして経営改善を進めるチャンスでもあります。
今まで経営をしてきた先代の技術と経営勘。若い世代の新しい発想・センスやエネルギー。
これが組み合うことで、他の洋菓子店にはない新しい力が生まれてきます。
もちろん先代・後継者のバトルもありますが(笑)、これはどの会社でも普通にあること。逆にバトルをするくらいの気概がない後継者であれば将来が不安です。
先代に負けたくない。そう思える後継者であることを喜んで欲しいなと思います。
あなたはどうですか?
なんとなくこのまま過ごす。自分の体力やセンス、老舗だからと自分で言い訳をつくり、何もしないという選択をしていませんか?
あなたが思っている以上に、地域の人はあなたのお店の存在を大事に思っています。
あなたのお店のマークがついた包装紙、シールだけでありがたいと思う人たちがたくさんいます。
その人たちに、これから10年どんな姿を見せていくのか。
そのためにどのような経営改善の方向性を示していくか。
後継者にどんな会社・お店・経営基盤を譲っていくのですか?
衰退していく姿を見せる。
老舗として、独自の輝きを見せる。
選択するのはあなたです。
でも私は後者であって欲しい。独自の輝きを見せる老舗洋菓子店になって欲しいなと願います。
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