「値上げをする」
そう社長が決めて、会議で切り出した時、
雰囲気が止まる。
市場環境は厳しい。
原材料は上がり続け、
人件費も引き上げなければならない。
金融機関からは利益率改善を指摘される。
今の数字を見れば。
このまま続けても利益は出ない。
削れるコストは全部減らした。
経営者の給与も下げた。
その上での、値上げの判断のはずなのに・・・。
会議では、
- 売上や客数が減少する不安
- 値上げが注目されている今、値上げするという不安
- お客様の不満が増える不安
そんな声が現場から上がり、社長はなぜか、値上げの言い訳に終始してしまう。
経営者としては、正しい判断と思うのに、
今は、会社一丸で苦境を乗りこえて行きたいのに、
現場とは、なかなか意識が一致しない。
その本当の原因は、どこにあるのでしょうか。
今回は、「値上げに反対された本当の理由」について整理します。
目次
1.値上げでよくある反対意見は本当の理由?
値上げをしようとした時、現場リーダーや従業員からよく出てくる声があります。
「うちでは、その値段では売れないです」
「お客さんが離れてしまいます」
「近くの同業や、大手よりも高くなってしまう」
「世の中は物価高で、地域の所得も上がっていない。今はタイミングが・・・」
値上げに対する反対意見は色々とあります。
社長が一番信頼している幹部や古株の現場リーダーが、社内の誰よりも強く反対する、値上げに対して及び腰になる。
そんな例も少なくありません。
もちろん、会社のことを思って発言してくれる従業員もいます。
しかし、一方で“お客様のことを考えた”ような発言で、従業員自身の声を代弁する。
例えば、
「お客様が納得しない」と反対しているけど、本当は「従業員自身が納得しない」
実は、ここに本当の原因が隠れています。
2.思ったような値上げができない本当の理由
①社長と現場の責任に対する意識のズレ
「この商品、値上げしようと思うんだけど、いくらにすると良いと思う? みんなで考えて」
この言葉を聞いた時、私はドキッとしました。
これは、ある地方にある和菓子店の話。
初めて私がご支援した時、値上げを含めた商品の価格改定による利益改善がテーマ。
その時は、社長と専務と私で各商品ごとの価格を見直し、値上げを実行。
わずか半年で営業利益は売上対比で7%以上改善し、会社は大きな黒字に転換しました。
その3年後です。
前回の値上げ後、一旦ご支援は終了していましたが、社長より連絡があり久々にご訪問。
決算書を拝見したところ、3年間で会社は赤字へ転落。
再度の値上げが必要な状況でした。
その値上げの打ち合わせを社内でしていた時、
社長が販売部門リーダーに、問いかけたのが先ほどのコメント。
ここを変えないと。と正直に思いました。
日々の売上や集客を見ている現場に、値上げの設定を任せても答えは出せない。
なぜなら、彼らが見ているのは日々の売上と客数の増減だから。
利益につながる値上げやは経営者の責任と捉えているからです。
社長としては「現場の声を聞いて」
と思ったのかもしれない。
だけど、
現場は「経営者がやるべき、値上げの責任を負わされた」と思ってしまう。
表面的には、売上や集客、お客様の不満を値上げ反対の理由としているけど、
実際は、自分たちが負わされそうになっている値上げの責任は、
経営者が担うものという意識のズレ。
→「社長がいくら頑張っても組織が変わらない理由」をコチラでも詳しく書いています
この会社が、再び赤字に転落した原因は、
値上げができなかったことだけはありません。
「値上げの責任」を、経営として引き受けなかったことです。
これが、本当の理由の一つ目。
②値上げの説明ではなく、やる意味の共有が不足している
「原材料やコスト、人件費が上がったから・・・」
値上げの”理由”を説明すると、ほとんどの会社ではこうなります。
ですが、値上げをする”意味”は何か?
- なぜ、今値上げをしなければならないのか?
- 値上げをしなかった時、会社はどうなるのか?
- 今後、会社はどのような方針で進むのか?
これを伝えることが、値上げをやる意味の共有。
まずは、これが社長の中で整理されているか。
その上で、現場に説明できる言葉になっているか。
ここが抜けていると、
値上げは単なる“怖い決断”になってしまう。
単なる一時しのぎ施策としての、値上げになっていると、
「今、しなくても・・・」
という楽観的な声が出てくる。
値上げの真の理由が、現場に伝えられていない
これが本当の理由の二つ目です。
③社長自身が迷っている
値上げをしなければ、会社はもたない。
そうわかっているはずなのに、
- 値上げの上げ幅はどうしよう?
- 他社競合の様子を見ながら。
- どのタイミングでやるのがベストか?
- 現場から反対されたら?
- 売上や顧客離れが予測つかない
このような理由を並べて、
社長が値上げに対して 100%決断しきれていない。
その迷いは必ず、現場に伝わります。
組織は経営者の迷いに敏感。
社長が決めるべき値上げを、決めきれない状態であれば、
組織は動けない。
決断の強さは、数字ではなく「経営者としての覚悟の明確さ」で伝わる。
これが本当の理由の3つ目です。
3.値上げが動く会社、反対される会社
値上げが反対される理由は、価格ややり方ではありません。
- 責任の所在が曖昧
- 意味が共有されていない
- 社長の覚悟や決断が整理されていない
この3つです。
値上げが動く会社は、
価格を決める前に、
「なぜやるのか」を整え、社内で共有することから始めます。
そして、
値上げの責任は経営が負うと明確にしている。
値上げが反対される会社は、
実の価格ではなく、
組織の意思決定の仕組みに問題があります。
だからこそ、
値上げは、単なる価格改定ではなく、
組織として、一歩成長できる機会でもあります。
経営者の判断で止めるのか。
組織全体での決断にするのか?
その違いが、会社の一体感や、未来をつくります。
まとめ 〜 値上げは組織を成長させるチャンス
私は支援に入る際、
まずはその会社が値上げができるかどうかを見ます。
値上げは短期間で利益が上がるメリット以上に、
経営者の決断や危機感を、社内に浸透させる効果が高いからです。
中小企業ほど、
- 価格を決定する
- 値上げによって、離れる顧客がいることを受け入れる
この2つは、社長にしかできない決断。
つまり、経営判断の象徴となるからです。
値上げはその第一歩になりやすいテーマとして効果が高い。
値上げが動く会社は、次の取り組みに対しても
会社全体で意識を共有し、前向きに動けるようになります。
→「会議で決めたことが実行されない理由」
値上げの真の目的は、利益を確保したり、高めていくことではありません。
値上げの先にある、「経営者の決断で、動ける組織になる」ことです。
【著者プロフィール】
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、価格戦略の見直しを切り口としながら、「経営者の決断を整え、組織実行までを支える伴走支援」を行なっている。地方にある中小企業250社以上の動ける組織づくりと利益3倍化を支援を行う。
危機感の整理や共有の設計は、
社内だけで進めるのは簡単ではありません。
経営者の思考を整え、
組織に伝わる形にする伴走支援を行っています。
もし、
「誰かに話を聞いてほしい」
「気持ちをわかってほしい」
そういう方の相談。私でよければ伺います。
経営者の判断に寄り添う相談を大切にしています。
【一日一社限定・無料オンライン診断】※
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