「うちは大丈夫だと思っていたんですけど。。。」
そうおっしゃったのは、今ご支援している地方の食品製造会社の社長。
同業他社が厳しい時でも、売上・利益は大きく右肩がり
強い主力商品があって、今でも引き合いがある
業界でも他社に先駆けて取り組んだ販路で、一人勝ちだった
真面目に商売をしていて、大きなトラブルがあったわけでもない。
ところが今は。
売上は3年前のピークの6割まで落ち込み。数千万円の赤字。
運転資金は不足し、何も手を打たなければあと2年で会社は行き詰まる。
まさに崖っぷちの状態。
中小企業の現場で、私が何度も見てきた、
「問題がある会社」ではなく、
「問題が見えないまま進んできた会社」
これが実は一番危ない、という現実です。
そして、いざ改善をしようとした時、
社内には、なぜか「うちは大丈夫」という空気感。
社員に危機感がなかなか浸透しない。
なぜ、「うちは大丈夫」という空気が生まれるのか
そして、その空気が組織にどんな影響を与えるのか。
今回は、この原因について整理します。
目次
1.「うちは大丈夫」という空気が生まれる背景
社長は気づいていたのに。
「うちは大丈夫だと思っていた」
そう言いながらも、社長の中には将来への不安があったはずです。
今の状態が続くわけがないという危機感を持っていて。
実際に、新しい商品開発、新規販路開拓、新ブランドの立ち上げなどを進め、具体化してきました。
社長として、次なる手は打っていたのは事実です。
ですが、組織としての危機感はなかった。
そのため、会社の経営が厳しくなった時でも、
組織として何かしようという動きが取れない。
社長一人が焦っていて、現場がそれについてこれない状態。
そのため、いざ改善を進めようとすると、
社内の動きは悪い。改善への反対意見が出てきて、
改善が進まない厳しい状況でした。
2.社長の不安や危機感が、現場に伝わらない原因
社長自身は、将来への不安から、いろいろな取り組みをしていたけども、
それでも現場は「うちは大丈夫」と思い込み、危機感を持てなかった。
これの原因は、
①不安が言葉になっていなかった
社長自身は、世の中の状況や業界動向、外の情報を知っていたと思います。
自分自身は不安を感じていたけど、それを具体的な言葉として、
幹部や現場に伝えることがなかった。
現場は、社長が「新しいことをやる」というだけで、
なぜ「そのことをするのか」という意味はわからず、
単なる「社長の思いつき」としか認識されていなかった。
②現場の日常は変わらなかった
社長が危機感を感じている間も、
現場では毎日、指示された数の商品が製造され、出荷される。
製造数が増えれば人が増員される。これの繰り返し。
製造現場に限らず、管理部門も営業部門も、同じ仕事が問題なく繰り返されていく。
そこに危機感は生まれなかった。
→社長が頑張っても組織が変わらない理由は こちらでも説明しています。
③社長もどこかでまだ大丈夫と思っていた。
もしかすると、、、
社長自身も、
「まだ大丈夫だろう」という思いが残っていたのかもしれません。
売上はまだある。
銀行の対応も悪くなかった。
社員も辞めていない。
地域の同業からも、先を行っていると言われる。
売上に対する危機感はあった。
だけど、「まだ打てる手はある」「多少悪くなっても、すぐに取り戻せる」という思いも、どこかに残っていた。
自分が頑張れば、なんとかなる。
この「半歩の危機感」は、
組織を変えるというを判断を先送りしてしまいます。
そしてその空気は、必ず組織の空気になります。
→「半歩の危機感」会議で決めたことが実行できないにも現れます。「会議で決めたことが実行されない理由」
社長が本気で危機感を持たない限り、
現場や組織も、危機感を持てない。
3.本当に怖いのは「うちは大丈夫」という空気感
本当に怖いのは、売上や利益が落ちることではありません。
「うちは大丈夫」という空気感が、
誰にも疑われずに、静かに広がっていくこと。
経営者の危機感は、外の情報に触れて感じます。
現場の危機感は、現場の日常が大きく変わった時、ようやく感じます。
ここにあるのは、大きな時間差。
大事なのは、経営者が先々に感じている危機感を早い段階で共有すること。
自分が持つ危機感を整理し、言語化し、現場と共有しておくことで、
いざという時に動ける組織が生まれます。
危機感は、煽るものではなく、
浸透させるように、丁寧に伝えていくもの。
その積み重ねが、いざという時に動ける組織をつくります。
社長が焦っている。
それは、危機感が伝わっていないサインかもしれません。
そしてもう一つ。
社長自身は、自分自身が感じている危機感や不安を気づいているでしょうか?
「うちは大丈夫」という空気を変えられるのは社長だけです。
まとめ
中小企業では、危機感が浸透しないまま時間だけが過ぎていくケースが少なくありません。
「うちは大丈夫」という空気は、
ある日突然、崩れるわけではありません。
少しずつ、気づかないまま進んでいきます。
今、この会社は必死に立て直しを図っています。
現場への関わり方を見直し、
少しずつ「変わらなくてはならない」という意識が生まれ始めました。
もちろん、急な変化に戸惑う社員がいるのも事実。
経営はまだ楽ではありません。
それでも、社長が感じている危機感を言葉にし、
現場と共有でき始め、空気は変わりつつあります。
経営者が抱える不安や焦りは、簡単に口にできるものではありません。
だからこそ、その思いを整理し、
どう伝え、どう動くかを整える存在が必要になります。
私の役割は、
改善策を進めながら、
社長のパートナーとして
その思考と行動を整え、支えることです。
=著者プロフィール=
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、
従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、
価格戦略の見直しから組織実行までを伴走し、地方の中小企業 約250社以上の利益改善を支援。
「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、
「経営者の考えを整え、現場に通す」パートナーとして現場実行までを支える支援を行なっている。
危機感の整理や共有の設計は、
社内だけで進めるのは簡単ではありません。
経営者の思考を整え、
組織に伝わる形にする伴走支援を行っています。
もし、
「誰かに話を聞いてほしい」
「気持ちをわかってほしい」
そういう方の相談。私でよければ伺います。
経営者の判断に寄り添う相談を大切にしています。
【一日一社限定・無料オンライン診断】※
無料オンライン相談では、ご相談者様からの要望がない限り、当方から営業活動は一切行いません。




























