中小企業の利益を3倍にする経営コンサルタント 本田信輔です。
今回のテーマは、不景気でも売上が2割上がる中小企業の「実体験型」営業会議の実例をお伝えします。
ある地方にある食品製造会社の営業会議の業績向上事例。2024年頃から導入してもらい、厳しい経済環境の中でも会社の業績は売上20%アップ。販路も販売エリアも、大きく拡大しています。
時は2024年。元日に石川・能登半島の地震が発生し、翌2日には日航機と自衛隊機が衝突・炎上するという衝撃な出来事から始まり。
パリ五輪の日本選手や、アメリカ野球界で大活躍する大谷翔平選手に励まされつつ、7月には新紙幣の発行。国内政治はカネ問題やSNSの影響拡大に振り回され断末魔のようにバタバタ。
2025年以降もその傾向は続き、中小企業は30年間続くデフレから脱却するように、弾かれたごとく急上昇する物価高騰の煽りを受け、厳しい経営環境に追い込まれ、売上アップや利益確保に苦慮する経営者やオーナーは少なくありません。
円安の恩恵を受けていたた業種や企業はともかく、地方や多くの中小企業が厳しい経営環境となっていますが、その中でも売上を大きく伸ばしている企業。
特に地方で地域密着型であっても年商20%以上アップを実現している事例が複数生まれ、それらの企業に共通するポイントがあります。
その一つの実例が「実体験型」営業会議。
ぜひ、ご自身の会社の営業会議と比較しながら、お読みください。
1.【業績向上事例】社内全体で自社の商品価値を認識する「実体験型」営業会議が売上を上げる
東北地方で年商を20%以上伸ばしている中小食品製造企業の事例です。
この会社は地方で地域密着型の食品製造業を営み、直販と卸、通販に取り組んでいます。
年商は前年比20%以上で推移。卸も直販も通販も好調です。
その原動力となっているのは月1回、社内で開催される「実体験型」営業会議。会議には卸も直販のメンバーに加え、製造からも参加しています。
内容は“自社の商品(新商品)を食べながら、色々と商品の良いところや、どういうお客さんに、どのように提案していくか”を議論しています。
話の内容は、
「この商品だったら、こういうお客さんや卸先にオススメできる」
「この商品、こんな食べ方もアリじゃない!?」
「この商品の製造は、ここを大事にしてる。ここの部分の作り方はなかなか難しい(製造サイド)」
等々、商品の良さやストーリー、どのようなお客さんに、どのようにオススメできるかを実際に商品を試食しながら、皆でフリートークしています。
自分たちが売ろうとしている商品の良さ=価値を社内全体で共有化することを目的とした営業会議です。他の会社でありがちな数字の確認や売上見込みなどの話は少しだけにします。実際、このスタイルの営業会議を導入したあと、
この会社の専務さんは「結果や見込みは資料を見たらわかる。それを言葉に出してもあまり意味がない。自分たちは良い商品を作っているんだから。大事なのは、どうやって自分たちの商品の良さを伝えていけるかなんだよ」と話されるようになりました。
この営業会議のおかげで、店舗でも卸営業の場面でもスタッフは自信を持って、お客さ様に合わせたより深い商品価値や情報を伝えることができ、提案の説得力アップや信頼関係強化につながる。その結果が年商20%以上アップです。
この会社に限らず、2024年に売上を伸ばした会社は、社内で自社商品の価値を共有化する取り組みを実践。“経営者だけではなく営業、直販、製造など部署を超えたメンバーが、様々な視点で自社商品の価値を見つけ出し、それらを共有する”ことで全社的に商品の価値を伝える力を高める取り組みを進めています。
あなたの会社はどうですか?
- 自社商品の価値を、社内全体で共有していますか?
- 新商品開発の過程では色々な意見を聞くけど、発売する時は経営者や製造から一方的に伝えていませんか?
- 自社の販売や営業スタッフは、商品の価値を“会社から与えられた情報や言葉ではなく、自分たちの言葉”として伝えることができていますか?
- 会議をしても、できないことや、達成していない数字を責めるばかりになっていませんか?
- 試食会はするけど、改善点やマイナスの意見を集めることにとどまっていませんか?
中には、新商品を発売する時、“販売スタッフや全社員に配布し、食べて感想を聞かせて”という取り組みをされている会社があるかもしれません。
ですが、大事なのは“自社商品の良さを、他のスタッフとリアルタイムで意見交換する”ことにあります。
スタッフ同士が同じ「試食時間」や「体験」を通じて
- 自分たちの商品に愛着を持てるようになる
- 「作り手の視点」、「売り手の視点」、「顧客の視点」など複数の視点を組み合わせることで、より深く幅広い提案力・アピール力が身につく
- 「この商品は誰に向けて、どうやって提案するのか」具体的に議論する時間が生まれる
- どんな言葉がお客様に響くか、自分たちの言葉を中心にしながら考える機会になる
もちろん、各部署のスタッフが時間を合わせて集まることは、人手不足の環境下において厳しい部分があるかもしれません。ですが「実体験型」営業会議のメリットは、これからの時代で売上や利益を確保するために非常に大きなものとなります。
2.大事なのは・・・方法論として、実体験型会議をすることじゃない
「実体験型」営業会議、単純にこれを導入するだけで、売上が上がるわけではありません。
大事なのは、なぜ「実体験型」営業を会議をするのか?という理由にあります。
多くの中小企業の特徴。
- 商品開発を経営者や製造の一部メンバーだけで行なっている
- 販売の現場の立場から言うと、商品開発の意図やストーリーがわからない。開発側からの単なる説明で済まされてしまう
- 新商品の開発〜販売開始スケジュールが、決まっていない&共有化されていない
- 営業や販売現場に、ある日突然、トップダウンで新商品が知らされ、投入される
こういったことが、当たり前に起きている現状があります。
その結果、
- 売れる新商品のブラッシュアップが不十分(営業・販売の声が入っていない)
- 毎回、商品の「謳い文句」が作り手(製造)目線で、技術や素材のことばかりになってしまう
- 新商品の価値を「売り手」が理解し、自分の言葉にする前に、販売がスタートする
となり、営業や販売の現場で、自社の商品の魅力やストーリーを100%伝えることができない。そのうち、販売現場は「自分たちの言葉」で商品説明することを考えなくなる。
そういった商品づくりや社内慣習が、どんどん積み重なり、会社として商品構成全体の価値や魅力を高めたり伝える力が弱くなる。(取引先やお客様にとって、価値がない商品ばかりに見えてしまう)
まずは、この原因と理由とを知ること。その上で、自社であればどういうことに取り組んだら良いかを考える。「実体験型」営業会議は、その中で生まれた取り組みだということです。
3.物価高、所得が上がらない時代。お客様の財布の紐がシビアになったこれから。
価格競争で大手と勝負できない中小企業は、さらなる「価値競争」に突入する時代に入りました。
自社の独自性や強みを活かしつつ、販売の現場では価格を超えた価値をお客様に感じていただくことが購入につながる時代です。
その中で売上を伸ばした企業は、“全社一丸で自社商品の価値を共有認識としてもつ努力”をしています。
このような取り組みは、今回の事例だけではなく、地域密着型企業や食品業界に限らず、さまざまな業界・業種・業態で実践され、厳しい経営環境下でも売上を大きく伸ばす要因となっています。
ミタス・パートナーズが提案する“日本一会議企画”もまさにこれを目的として、継続的に取り組んでいただける企業も着々と増えています。
「値上げで売れなくなった」「物価高だから、買い控えが・・・」と悩むより、物価高環境や値上げをしながらも、お客様に価値を感じていただき、支持されるよう取り組みを進めている会社やお店が売上や利益を伸ばしています。
あなたの会社や商品の価値を、さらに高めて活かし、売上につなげていく方法が必ずあります。
=著者プロフィール=
経営改善コンサルタント/ミタス・パートナーズ代表
地方の小さな菓子店に生まれ、経営者である両親が売上や利益、
従業員との関係に悩みながら意思決定していく姿を間近で見て育つ。
現在は、食品製造小売業・飲食業・サービス業を中心に、
価格戦略の見直しから組織実行までを伴走し、地方の中小企業 約250社以上の利益改善を支援。
「やり方」よりも「決断し、できるようにする」を重視し、
「経営者の考えを整え、現場に通す」パートナーとして現場実行までを支える支援を行なっている。

























